トヨタは、主力コンパクトカーのトヨタ ヴィッツ特別仕様車F Ciel(シエル)、F SMART STOPパッケージ・Cielを設定し発売を開始した。

　今回の特別仕様車は、Ｆグレードををベースに、トータルコーディネートにこだわった内外装を採用。内装色は、ブラックとベージュの２種類より選択できる。ブラックの場合は、シフトレバーベゼルやオーディオクラスターパネルなどにピンクベージュ塗装を、ベージュの場合は、シフトレバーベゼルやステアリングベゼルなどにピアノブラック塗装を施している。また、両タイプともに内装色と同色のシルフィードシート表皮（スエード調）を採用し、質感を高めた。

　外板色は、特別設定色のボルドーマイカメタリック、シルキーゴールドマイカメタリック、ダークブルーマイカ、ダークブラウンマイカメタリックを含む全６色を設定。さらに、外板色と同色のカラードフロントグリルや、内装色に合わせた色のジュエリーをあしらったような専用リヤエンブレムを採用し、個性を際立たせている。

さらに、世界初のIR（赤外線）カット機能付スーパーUVカットガラス（フロントドア）やオートエアコン、スマートエントリー＆スタートシステムなどを特別装備し、利便性・快適性を向上させている。

　世界初というIR（赤外線）カット機能付スーパーUVカットガラスは、99％紫外線をカットし日焼けやシミなどのトラブルを緩和する。この機能に、さらに暑さの原因となるIR（赤外線）をカット。車内温度の上昇や、真夏によく経験する肌がジリジリする状態を緩和する効果がある。この機能は、単純に肌の暑さの問題だけではなく、低燃費効果にも効果がある。

　今回装備されたアイドリングストップ機能付きのSMART STOPパッケージ車などには、とくに効果的だ。アイドリングストップ機能が働いている時には、エアコンはオフとなり送風状態となる。そのため、夏場などは車内温度は上昇する傾向にある。あまり車内温度が上がると、不快になることから、一定以上車内温度が上がるとアイドリングストップ機能を停止し、エンジンを始動しエアコンが入る。アイドリングストップ時間が長く取れるほど、燃費は良くなる傾向にあるのだが、快適性重視の設定がされているのだ。

　スズキのワゴンRなどは、エコクールと呼ばれる蓄冷剤を入れ、送風時には蓄冷剤を通ることで車内温度の上昇を抑え、アイドリングストップ時間を長く取り低燃費化している。

　これと同じ考え方が、IR（赤外線）カット機能付スーパーUVカットガラス。IR（赤外線）をカットすることで、車内温度の上昇が抑えられるので、アイドリングストップ時間を長く取れるのだ。カタログ上の燃費に変更はないものの、実燃費のアップが期待できる装備でもある。

　価格はF SMART STOPパッケージ・Cielで1,540,000円。ベースのFが136万円なので、18万円アップとなる。全体的な質感の低かったヴィッツが、上質になる特別仕様車だが、お買い得感はそれほどでもなく価格なりといったところ。毎日使うものだから、もう少し高い質感や夏の日焼けや暑さがとくに気になるというひとに向く。

　モデル末期とはいえ、相変わらず人気で完成度の高いホンダ フィットに対して苦戦が続くトヨタ ヴィッツ。2013年には、ホンダ フィットがフルモデルチェンジ予定。フィットがフルモデルチェンジ時には、お買い得仕様のヴィッツが続々登場することが考えられる。今スグ、という人でなければ、来年のフィット フルモデルチェンジまで、ジックリと様子をみるといいかもしれない。または、モデル末期フィットの上級グレードを大幅値引きで手に入れるという選択肢もある。

＜トヨタ ヴィッツ特別仕様車価格＞
・F“Ciel” （1.0L） 2WD 1,360,000円　燃費20.8km/L
　　　　　　　　（1.3L） 2WD　　 1,480,000円　燃費20.6km/L
　　　　　　　　（1.3L）　　　　4WD 1,669,000円　燃費18.0km/L
・F“SMART STOPパッケージ・Ciel”（1.3L） 2WD 1,540,000円　燃費21.8km/L