日産 は個性派のコンパクトカー 「日産キューブ」 に特別仕様車 「15X コダワリセレクション」を設定し発売を開始した。

　現行日産キューブは、2008年11月にデビューということもあり、すでにモデル末期となっている。現在のモデルで3代目だ。キューブという車名からも分かる通り、スクエアなボディをもつコンパクトカーで、全長3890×全幅1695×全高1650mmというボディサイズをもつ。全長と全幅はマーチ クラスで、全高が高いというシルエットが特徴。そのため、最小回転半径は4.6mと小回り性能が高く、狭い道でも使いやすい。

　日産キューブの魅力は、なんといってもデザイン。車名からも分かる通り、とにかく四角い。燃費を意識し空気抵抗を減らすことを目的としたウェッジシェイプのスポーティなデザインが多いなか、未だに新鮮さをもつ賞味期限が長いデザインだ。

　また、機能面でもかなりオリジナリティが高く、左右非対称の横開きのバックドアをもつ。こうした個性的なデザインと丸目のヘッドライトや柔らくラウンドしたフェンダーが組み合わされ、なんとも愛らしい雰囲気をもっているのも特徴で、愛着がわくスタイリングをもっている。

　また、独自の個性は外観デザインだけに止まらない。キューブ マイ・ルームというキャッチコピーに代表されるように、インテリアにもかなりのこだわりをみせる。自分の部屋のような、くつろぎの空間をイメージしデザインされており、フロントをベンチシートとしたゆとりある空間を作り出している。キューブはクルマなのだが、シートではなくソファー感覚という考え方だ。

　自動車メーカー的な視点である、運動性能や燃費性能などクルマとしてのあるべき姿とは、ある意味無縁の価値観でキューブは生まれたと思えるほど、コンセプトは今でも斬新だ。

　そんな日産キューブに投入された「15X コダワリセレクション」は、キューブが持つ快適な室内空間に、上質なインテリアを設定した特別仕様車。特別仕様車のグレード名称である“コダワリ”とは、“作り手のこだわり”と”本物嗜好のお客さまのこだわり”という二つのこだわりを表している。本革を手で編み込んだこだわりの装飾を施した専用本革/カブロンコンビシートが採用された贅沢な仕様となっている。

　また、本革巻3本スポークステアリング、メッキインナードアハンドル、フロントフォグランプ、オートライトシステム（フロントワイパー連動、薄暮れ感知「おもいやりライト」機能付）を専用装備。同時に法規制に合わせ、ようやく横滑り防止装置（VDC）が全車標準装備され、平均的なレベルの安全性能を有するようになった。

　個性派キューブだけに、ボディカラーも重要な要素。今回は3バリエーションの2トーンカラーが新規に設定された。2トーンカラーは、軽自動車を中心に人気が出てきている。新規設定の2トーンカラーは、キューブで好評のスオミブルー、ビターショコラ、および人気が高かったため今回復活させたアクアミントをベース色とし、それぞれにアクセントカラーとしてブリリアントホワイトパールを組み合わせている。今回の2トーンカラーのイメージは、1991年に発売し好評だった「フィガロ」をイメージしたという。

　2トーンカラー車は、ルーフ、ドアミラー、アウトサイドドアハンドル（ドアおよびバックドア）が、ブリリアントホワイトパールになる。また、15G以外は15インチフルホイールカバーがホワイトパール色となる。

　日産キューブは、デビューが2008年となるため、さすがに基本ハードが古くなっているのは否めない。それでも、早くからアイドリングストップ機能を装着するなどし進化。燃費性能も19.0㎞/Lとなっていて、全車がエコカー減税免税レベルにこそ達していないものの、自動車取得税が80％と自動車重量税が75％の減税となっているので、顧客メリットも十分に提示できているレベルにある。

　軽自動車では、低燃費性能や価格といった実用性一辺倒から、多少高価でも遊び心あふれる個性派モデルが続々と投入され人気を得ている。こうしたトレンドがコンパクトカーにも流れてくるのであれば、日産キューブも再び脚光を浴びる可能性があるだろう。

　日産キューブ15X コダワリセレクションの価格は、1,647,000円。キューブと直接のライバルとなるクルマが無いが、実際の購入時にはフィットの1.5Lやラクティスなどと競合させるといいだろう。特別仕様車とはいえ、モデル末期なのでそこそこの値引きには応じるはずだ。

＜日産キューブ価格＞
・15X 1,598,400円
・15Xコダワリセレクション 1,647,000円
・15X Vセレクション 1,782,000
・15G 1,987,200