日産は、コンパクトカーのマーチに新グレードとなる「パーソナライゼーション」を設定し発売を開始した。

日産マーチは、1982年に初代が登場。現行モデルは4代目で、今年35周年を迎える歴史あるモデルだ。歴代マーチは、日産を支えるコンパクトカーとして高い人気を誇っていた。2代目マーチは、1992-1993日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。

4代目マーチは、2010年に登場した。コンパクトカーは価格競争力が求められるということから、国内の生産ではなく生産拠点をタイへ変更。4代目マーチは、タイで生産される輸入車でもある。

この4代目マーチから、販売台数面で厳しい戦いになった。2013年度を最後に、新車販売台数30位から姿を消した。こうなった理由は、色々な要因が複雑に絡み合う。

まず、全長3,800㎜台のコンパクトカーマーケットが大幅に縮小してきたのだ。このクラスは、軽自動車がライバルになる。しかし、軽自動車のスーパーハイト系のように広大なスペースは無く、価格も安くない。その上、軽自動車は税金も安い。

さらに、日産の販売店でも軽自動車を売るようになっており、売りやすい軽自動車を勧めるという状況もあった。また、日産には広大な室内スペースと低燃費を誇るノートがフルモデルチェンジする。こうなると、セールスもあえてマーチを勧める理由が無くなってしまったのだ。もはや、完全に存在感を失ってしまったカテゴリーのクルマなのだ。

それでも、歴史あるモデルなのでマーチに乗り続ける顧客がいる。こうした顧客を流出させないためにも、やはり話題作りは必要だ。それが、今回登場したパーソナライゼーションという見方もできる。

　今回投入された日産マーチ パーソナライゼーションは、「X Vセレクション」、「G」グレードをベースに、ホワイトカラーの「電動格納式リモコンドアミラー（ドアロック連動自動格納機能付）」、「アウトサイドドアハンドル（フロントドア、リヤドア）」、「フルホイールカバー」などを装備。追加パーツがホワイトに塗られていて、より個性を引き出すアクセントとなっている。

最近では、軽自動車などを中心にルーフを色を変える2トーンカラーが流行っている。マーチの狙いどころとしては、こうした2トーンカラー車のような雰囲気を与える仕様にしたというところだろう。このホワイトのパーツ類は、明るめのボディカラーとよくマッチしているようで、なかなかおしゃれな雰囲気が魅力だ。基本的に、色を変えたくらいなので安価に個性的にできる手法でもある。

そして、ボディカラーをさらに充実させている。最近の日産は、鮮やかなボディカラーを設定することが多く好評だ。そんな傾向もあり、「サンライトオレンジ（M）」、「スプリンググリーン（PM）」を復刻させ追加。その上で、シックでプレミアムな「チタニウムカーキ（PM）」とノーブルで上品な「ダークブルー（P）」の新色2色を追加。全11色から選べるようになっている。選択肢が増えたことはよいことだ。

　日産マーチ パーソナライゼーションの価格は、X Vセレクション パーソナライゼーションが1,408,320円。G パーソナライゼーションが1,589,760円となった。ベースとなったグレードから、約3万円のアップとなっている。

プラスされた装備は、パーツ類の色の変更程度といったもの。モデル末期のモデルであることや、自動ブレーキなどの先進予防安全装備が用意されていないなどを考えると商品力があるとはいえない状況。この状況で、色の変更程度で約3万円という価格アップは、やや高いと感じる。もはや、価格を下げて売るくらいの大胆さがあってもいい。

グレード選びは、やはりX Vセレクション パーソナライゼーションがお勧めだ。各部の加飾などが簡素化されていたり、リヤシートが6：4分割できなかったりするものの、約18万円も価格差がある。これだけの価格差があると、G パーソナライゼーションは選びにくい。約159万円という価格は、このクラスでは選びにくく、約6万円をプラスすると、ひとクラス上で歩行者は検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備を標準装備したホンダ フィット13G・Lホンダセンシングが手に入る価格帯になる。

■日産マーチ価格
●2WD
・S　1,151,280円
・S プラムインテリア　1,287,360円
・X Vセレクション　1,375,920円/パーソナライゼーション　1,408,320円
・G　1,557,360円/パーソナライゼーション　1,589,760円
●4WD
・X FOUR Vセレクション　1,550,880円/パーソナライゼーション　1,583,280円
・G FOUR　1,721,520円/パーソナライゼーション　1,753,920円