BMW ActiveHybrid 3(アクティブハイブリッド3)新車試乗評価 高価なだけあり、走りや燃費に妥協なし!
BMW ActiveHybrid 3(アクティブハイブリッド3)新車試乗評価 の目次
先代335iに比べるとお買い得かも知れないが、699万円からの価格設定はやはり高価
BMWは日本のメーカーに負けず劣らずハイブリッド車に導入に積極的だ。7シリーズのボディに組み合わせたActiveHybrid7、V8と2モーターを組み合わせた激速のActiveHybrid X6。5シリーズに続き3シリーズのボディにハイブリッド・システムを載せた、第四弾のハイブリッドが、BMW ActiveHybrid3(アクディブハイブリッド3)が今回の試乗車である。
BMWハイブリッド車の特徴は、単に省燃費モデルとしてではなく、車名のようにアクティブ、つまりパワーが優先である。ActiveHybrid3も従来の335iに代わるハイ・パフォーマンス・モデルとして登場。3リッター直列6気筒ツイン・ターボ・エンジンに電気モーターを組み合わせている。
高価なリチウム・イオン・バッテリーや電気モーター、システムを搭載しても先代の335iセダンと比べると13万円アップの699万円からと、お買い得感をBMWはアピールしているが、試乗車はM Sportで745万円、更にレザー・シートなど魅力的なオプションを満載していたため約850万円と、非常に高価だ。これはこれでアリだが、320iをベースとしたもっと安価なアクディブハイブリッド3の登場も望まれるだろう。
試乗車したBMWアクディブハイブリッド3はM Sport仕様で、エクステリアのスタイルは誰でもカッコイイと思うだろう。車高は10mmローダウンされ、Mエアロ・ダイナミックス・パッケージをまとう。トランクリッドとCピラーに「ActiveHybrid3」のモデル・バッチがあり、他のモデルとの差をアピールしている。また、マフラーは左右の2本出しで、さり気なくパフォーマンスを主張している。
インテリアでもドア・シル・プレート及びセレクター・レバー前方に「ActiveHybrid3」のレタリングを施して他のモデルと差別化。ハイブリッド車特有のリチウムイオンバッテリーをラゲージルームの床下に収納。スペースは多少狭くなっているものの、ラゲージルームは390Lを確保して、分割可倒式リヤ・シートも備え、ハイブリッド・モデルのデメリットを最小限に留めている。
3Lターボで16.5km/Lという低燃費。走りを犠牲にしないハイブリッド車だ
アクディブハイブリッド3のエンジンは、単体で225KW(306ps)を発揮する。電気モーターは、40KW(54ps)の出力で、両者を組み合わせたシステム・トータルでは最高出力250KW(340ps)、最大トルク450Nm(45.9kgm)とパワフルだ。
8速オートマチックトランスミッションは「ECO PROモード」に設定すると、時速80km以上の高速走行において、アクセル・オフ時にクラッチを切りエンジンを停止させた状態で、コースティングと呼ばれる慣性力で走行が可能だ。このコースティングで、低燃費化させる。
走り初めは予想通りにスムーズ。強くアクセルを踏むと、身体がシートにめり込むように加速する。その速さは日本車のハイブリッド・カーを知っている人には信じられないくらいの速さだ。スポーツ・カーと遜色の無い速さで、どんなスピードでもアクセルを少し踏み込むだけで、ギヤがダウンしたと思った瞬間にミラーに映っていた後方のクルマが遥か後ろに消えていく。スタートから5.3秒で100km/hに達し、スムースに加速が継続するので、数値以上に速く感じると評価していい。
エンジン回転の上昇に従ってサウンドは大きくなるが、絶対的な音としては常に静かでプレミアム・カーに相応しく、M3の“魅せるサウンド”とは異なる。乗り心地も良く、ランフラットタイヤを履いているがタイヤの重さや固さは感じない。
唯一、気になったのがクルマの重さである。ハンドリング悪い訳ではなく、コーナーもスムーズに駆け抜けるし、アクセルを踏めば車重が無くなったようにスピードが上昇する。しかし、ステアリングを握っていると他の3シリーズとは異質の重い車を運転している潜在意識が消えない。実際に車重は1,740kgと320iに対して240kg、328iでも180kg重く、523iに比較しても10kg軽いだけである。
3シリーズのハイ・パフォーマンス・モデルらしい性能、重厚感、そして存在感はハンドルを握っている人だけに分かるのがActiveHybrid3である。
このBMWアクディブハイブリッド3の燃費は、JC08モード燃費で16.5km/L。直4の2Lで、245馬力を発揮する328iの燃費が15.2km/L。直6の3Lターボエンジンで、306馬力を発揮するパワーを持ちながら、16.5km/L燃費を維持するアクディブハイブリッド3の燃費さすがだ。国産ハイブリッド車は燃費に特化しているが、走り(パワー)を我慢せずに、燃費とのバランスを保っているBMWアクディブハイブリッド3。どちらがいいか、というより、どっちが好きか? という選択になるのだろう。
軽さと自然なフィーリングが魅力なAWDのBMW320i xDrive。アウディA4より安い絶妙な価格設定
エンジンのバリエーションだけでなく、今回の3シリーズにはフルタイム4輪駆動モデルのBMW320i xDriveが追加された。先代も細々と輸入していたが高価で、しかも左ハンドルだったので手が届きにくかった。しかしニューxDriveは右ハンドルで車両価格は480万円からとなり、降雪地方のBMWファンには朗報である。アウディA4 2.0TFSIクアトロ(車両価格523万円)の強力なライバルとなる憎い価格設定である。
試乗したモデルはBMW320i xDrive Sportで車両価格は500万円。スポーツシートは標準となり、ダコタ・レザー・シートは28.4万円のオプションである。運転席に座ってインテリアを見渡しても4輪駆動モデルだと言っても特別な事はない。走り出しても同様で、市街地を運転していて320iと比べても差が分からない。しかも、重さを感じたActiveHybrid3の試乗した直後だったので、とても軽快感を感じた。特にフロントがとても軽く感じ、スポーツ・カーを運転するように気持ちが高まり、コーナーを駆け抜けるのが楽しい。xDriveの基本はFRベースのため、FFベースの4輪駆動のようなターンインでのアンダーを感じない。
また、コーナーで不用意にアクセルを踏んでも、システムが素早く電子制御式多板クラッチを通じて瞬時に前後アスクルへの駆動トルクを可変配分するためにアンダーステアにもオーバーステアにもならない。ドライバーに対しても何も意識させないし、弱アンダーステアなので必要があればハンドルを切り足せば狙ったラインをトレースするのは容易である。これ程の軽快感はFRベースだけが理由ではなく、4輪駆動でも前後重量配分が50:50になっているからであろう。
車重は同装備の320i Sportより70kg重くなっているが、最大トルク270Nmを1,250から4,500rpmの広い範囲で発揮するエンジンは必要にして十分である。320iと同様にアイドリング時にはガサガサしているが、1,000rpmを越えてしまえば4気筒であるが滑らかに回る。
ActiveHybrid3とxDrive、同じ3シリーズなのに対極にあるようなクルマである。重厚かつ先進のActiveHybrid3、安定かつ軽快のxDrive。どちらを選択するかは運転する人のライフ・スタイルで選択すれば、どちらを選んでも間違いはないだろう。今後の3シリーズの展開が楽しみであると高評価したい。
BMWアクディブハイブリッド3 燃費・価格・スペックなど
<BMW ActiveHybrid 3価格>
BMW ActiveHybrid 3 ¥ 6,990,000
BMW ActiveHybrid 3 Sport ¥ 7,190,000
BMW ActiveHybrid 3 Modern ¥ 7,190,000
BMW ActiveHybrid 3 Luxury ¥ 7,190,000
BMW ActiveHybrid 3 M Sport ¥ 7,450,000
<BMW ActiveHybrid 3燃費>
JC08モード燃費 16.5km/L
<BMW ActiveHybrid 3の主な標準装備品>
専用ハイブリッド・スタート/ストップ機能
専用デュアル・エキゾースト・テールパイプ
専用リモート・クライメート・コントロール機能
専用エンジン・カバー
専用エクステリア&インテリアActiveHybrid 3バッジ
専用ドア・シル・プレート(ActiveHybrid 3ロゴ付き)
バイ・キセノン・ヘッドライト(LEDスモール・ライト・リング、LEDアクセント・ライン付)
アダプティブ・ヘッドライト(バリアブル・ライト・コントロール機能、コーナリング・ライト付)
リヤ・ビュー・カメラ
PDC/パーク・ディスタンス・コントロール(フロント&リヤ)
ドラインビング・パフォーマンス・コントロール(ECO PROモード付)
クルーズ・コントロール(ブレーキ機能付)
バリアブル・スポーツ・ステアリング(サーボトロニック付)
コンフォート・アクセス(トランク用スマート・オープナー機能付)
スルー・ローディング・システム(40:20:40分割可倒式リヤ・シート)
ランバー・サポート(運転席&助手席、電動調節式)
オートマチック・エア・コンディショナー(左右独立温度調節機能付)
リヤ・ウインドー・ローラー・ブラインド(電動)
自動防眩ドア・ミラー/ルーム・ミラー
ETC車載器システム(ルーム・ミラー内蔵タイプ)
8.8インチ・コントロール・ディスプレイ
iDriveコントローラー(ダイレクト・メニュー・コントロール・ボタン付)
HiFiスピーカー・システム(205W、9スピーカー)
USBオーディオ・インターフェース
ハンズフリー・テレフォン・システム
TVチューナー
<BMWアクティブハイブリッド3主要諸元>
全長×全幅×全高 右ハンドル仕様車:4,625×1,800×1,440mm
ホイールベース 2,810mm
車両重量 1,740kg
定員 5名
エンジン種類 直列6気筒DOHC BMW ツインパワー・ターボ・エンジン
総排気量 2,979cc
エンジン最高出力 225kW 〔306ps〕 / 5,800rpm (EEC)
最大トルク 400Nm 〔40.8kgm〕/ 1,200-5,000rpm(EEC)
電気モーター出力 40kW 〔54ps〕(EEC)
トルク 210Nm 〔21.4kgm〕(EEC)
システム・トータル最高出力 250kW 〔340ps〕(EEC)
最大トルク 450Nm 〔45.9kgm〕(EEC)
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