マツダ アクセラ ガソリン/クリーンディーゼル新車試乗評価 リニアな走りはピカイチ! 静粛性向上など上質さの向上が課題
1.5L&2.0Lガソリン、2.2Lディーゼルと3種類のパワーユニットが用意されるが、選びにくさも・・・
新型マツダ アクセラは、1.5Lと2.0Lのガソリン、2.0Lのガソリン+電気モーターのハイブリッド 、2.2Lのディーゼル ターボと3種類4機種のパワートレーンを搭載する。ガソリン、ディーゼル、ハイブリッドという3種類のパワーユニットを用意しているのは、BMW に同様の例があるが、日本車では唯一の設定だ。
新型アクセラ ハイブリッドについては、別に触れたので3機種のエンジンを搭載したモデルについて報告しておこう。3機種の設定といってもセダン には1.5Lだけで、3機種とも全部が搭載されるのは5ドアのスポーツだけだ。ただし、逆にスポーツには、ハイブリッド車の設定がない。いろいろ考えての設定なのだろうが、何をどうを選べば良いのかを分かりにくくしている面もあるように思う。
ボディサイズは、少し大きくなって全幅は1795mmに達している。今はゴルフ も全幅1800mmの時代だから、ヨーロッパでゴルフなどと競合することを考えたら、このサイズも当たり前なのかも知れないが、モデルを重ねるごとにクルマが大きくなっていくことには基本的に反対だ。
知恵や工夫を凝らすことで、小さなボディの中に大きな室内空間を作り、ボディサイズに制約がある中で伸び伸びとしたデザインを実現して欲しいと思う。
外観デザインは、アテンザ の魂動(こどうと読むのだそうだ)デザインの流れを汲むもので、抑揚のある面で構成され、それなりにカッコ良いデザインに仕上げている。前のドアまではセダンもスポーツも共通なのだが、セダンが案外カッコ良くできていると思う。
インテリア回りの質感はまずまず。ピアノブラックやシルバーの縁取りなどによって、メリハリのあるデザインに仕上げている。
ただ、インテリアの仕様というか装備は、グレードによって違いがあり、マツダ がアクティブ・ドライビング・ディスプレーと呼ぶヘッドアップ・ディスプレーは、1.5L車や2.0L車でも廉価グレードには装備されていない。
ヘッドアップ・ディスプレーは、新型アクセラで肝になる装備のひとつだが、上級グレード車用の装備として設定されている。
採用時期の関係でCX-5やアテンザには間に合わなかったのに、格下モデルのアクセラから搭載されることになったので、ほかのモデルの手前、一気に全面展開はできなかったようだ。
■マツダ アクセラハイブリッド新車試乗評価 プリウスとの違いは何だ? 同じハイブリッドシステムを搭載しながら差別化に成功したのか?
価格的にもアクセラのベストバイは1.5L? 気持ち良い走りだが高価で中途半端な2.0L。抜群のパフォーマンスだが、高価過ぎるディーゼル
新型アクセラの1.5Lエンジンは、圧縮比を13.0にまで高めたSKYACTIV仕様のエンジン。動力性能は82kW/144N・mの実力を発揮する。1200㎏台の車両重量は、ボディが大きくなった割にはあまり重くはないので、1.5Lエンジンでもそれなりに十分に良く走る。
アクセラ15Sを走らせていると、動力性能に関してはこれでも十分だよね、という気分にさせられる。ワインディングなどをガンガン走ろうと思ったら低速ギアを使ってエンジンを高回転まで引っ張らなければならないが、市街地でのタウンユースを中心に高速クルージングまでを考えたら本当にこれで十分である。
アクセラの販売直後時点での売れ行きを見ると、ディーゼル車やハイブリッドがけっこう良く売れているようだが、長期的にはスポーツを中心にセダンを含めて大半が1.5L車になっていくと思う。アクセラは従来から1.5L車のユーザーが多いのだ。
だとしたら、アクセラ15Sにもヘッドアップ・ディスプレーなど、マツダの最新の仕様を用意して欲しいところ。少なくともオプションで選べるような設定にしたら良いと思う。
新型アクセラ2.0Lのガソリン車は、114kW/196N・mのパワー&トルクを発生し、クルマとしてのバランスはけっこう良い。ボディに対してはっきりと余裕のある動力性能を持つので、軽快な走りが楽しめる。今年の4月17日からは、6速MT車も追加発売される予定だ。
ただ、2.0L車は誰が選ぶのだろうかと思ってしまう。ラインナップの中での位置付けが、何とも中途半端であるからだ。試乗した2.0L車の最上級グレードである20SツーリングLパッケージの価格は240万円を超えている。グレードによっては、ハイブリッド車も選べる予算なのだから、この価格で2.0Lのガソリン車を買うユーザーがいるのかどうか。
注目の新型アクセラ2.2Lディーゼルエンジンを搭載したモデルは、これが実に良く走る。129kW/420N・mという圧倒的な動力性能を持つだけに、比較的コンパクトで軽いアクセラのボディに対しては、十分すぎるくらいの余裕がある。
アクセルを踏めば、タイムラグを感じさせることなくすぐに力強い加速が始まり、わずか2000回転で最大トルクに達して豪華に加速する。低速域から力強い実力を発揮するので、タウンユースなどではアクセルペダルに軽く足を乗せているだけでいい。
そこから、アクセルを踏み込めば力強い加速が得られるので、クルマを自在に操れる感じになる。走りの面からみたら、アクセラのディーゼル車も確実にありだと思う。
ディーゼル車のXDは、アクセラのラインナップの中で充実した装備を備える最上級モデルとして設定されている。価格も最も高くて300万円に近い。
CX-5 やアテンザでも、マツダのディーゼルの良さが伝わっているので、アクセラでも一定程度にディーゼル車を選ぶユーザーがいるとは思うが、アクセラの車格に対して300万円という価格はかなり高めの印象だ。この価格帯のアクセラが長く安定して売れるとは考えにくい。
このように考えると、新型アクセラは、どのエンジンを選んだら良いのかが難しい。どのエンジンを搭載したモデルが“これぞアクセラ”なのかが見えてこない感じである。予算を含めて考えても、なかなか悩ましい選択である。
高い騒音レベル。リニアな走行フィーリングをもつだけに、上質な走りの質にも期待
新型マツダ アクセラの乗り心地については、やや硬めの印象をもった。最近のマツダ車は、リニアな走行感覚を大事にするようになって、妙にきびきびしたスポーティさとは違う走りの感覚を実現するようになっている。アクセラもその流れの中にあると同時に、割としっかりした感じの足回りを感じさせる。
また、タイヤなどとの関係もあるのだが、騒音レベルは全体に高い。エンジン音やロードノイズが普通に入ってくる。ガソリンやディーゼル車だけでなく、ハイブリッド車も同様。同じハイブリッドシステムを使うプリウスの方が、静粛性は高い。車内の快適性を考えたら、騒音レベルなどは低ければ低いほど良い。
こうした乗り心地や静粛性などから、アクセラの走りの質感はもうひとつ物足りない印象が残ってしまう。リニアな走行感覚は良いとしても、上質な走りが当面のマツダ車の大きなテーマになるように思えた。
マツダ アクセラ価格、燃費、スペックなど
■マツダ アクセラ価格
<5ドアHB>
・15C 2WD 6MT&6AT 1,711,500円
4WD 6AT 1,921,500円
・15S 2WD 6MT&6AT 1,848,000円
4WD 6AT 2,058,000円
・20S 2WD 6AT 2,205,000円
・20S Touring 2WD 6AT 2,310,000円
・20S Touring L Package 2WD 6AT 2,436,000円
・XD 2WD 6MT&6AT 2,982,000円
<4ドアセダン>
・15C 2WD 6MT&6AT 1,711,500円
4WD 6AT 1,921,500円
・15S 2WD 6MT&6AT 1,848,000円
4WD 6AT 2,058,000円
代表グレード | マツダ アクセラ 1.5S(5ドアHB) |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,460×1,795×1,470mm |
ホイールベース[mm] | 2,700mm |
トレッド前/後[mm] | 1,555/1,560mm |
車両重量[kg] | 1,270㎏ |
総排気量[cc] | 1,496cc |
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] | 82〈111〉/6,000 |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] | 144〈14.7〉/3,500 |
ミッション | 6AT |
タイヤサイズ | 205/60R16 |
JC08モード燃費 | 19.4km/L |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 1,848,000円 |
発表日 | 2013年11月21日 |
レポート | 松下 宏 |
写真 | 編集部 |
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