マツダ ロードスター試乗記・評価 キリリっとした顔つきからは想像できない柔和なフットワーク

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【マツダ】2015/05/09

 

 

気持ちよく操作性の高いMTと、完成度の高いAT

マツダ ロードスター mazda roadster

 エンジンを始動すると、やや大きめなエンジン音が聞こえる。さあ、元気に走らせよう、そんな気持ちにさせるエンジンサウンドだ。アクセルを軽く踏んで走り出す。搭載エンジンは、1.5Lに排気量ダウンしたが、低速トルクはそれなりに確保されていて、クラッチのミートに神経質になることもなく、スムーズに走り出していく。このスムースさは、車重が軽いことをが大きく影響している。

新型ロードスター で走り出すと、すぐに際立つ軽快さを感じることができる。走りに軽やかさが感じられるのは、ボディが軽くなったという先入観があったからではない。ステアリングやシフトレバー、ペダル、そしてエンジンの吹き上がりなど、各種操作系が良い意味で軽く作られている。こうしたことが、ドライバーの意思に素直に反応し走ることができることが、走りの軽やかさにつながっているのだと思う。

車速に応じて2速〜3速とシフトアップしていくと、シフトレバーがスポスポ入る感じで、とても気持ち良い。手首を返すくらいのわずかな操作でシフトでき、操作の最後の部分を吸い込むようにして着実に操作が決まる節度感がある。AT比率がほとんど100%に達しそうな圧倒的なAT車大国である日本で、逆に90%の近い比率でMT車が売れているロードスターならではのデキの良いマニュアルミッションである。

電子制御式の6速ATも良くできている。MTがマツダ の内製であるのに対し、ATはアイシン製だ。ミッションは、マツダのSKYACTIV ではないが、制御の面ではSKYACTIVの考え方が取り入れられて、気持ち良い変速フィールを示す。

ロードスターがMTを中心に売れるクルマであるのは変わらないだろうが、このデキの良いATによって今後はAT車比率が高まるかもしれない。また、先代ロードスターのように、よりイージーで快適にオープンカー を楽しめた電動ハードトップをもったRHTがあった。いずれ新型ロードスターにもRHTが設定されるかもしれない。AT限定免許精度も含め、そう考えると、ロードスターを楽しむ顧客の幅を広げる意味でATの存在は大きい。

マツダ ロードスター mazda roadster
マツダ ロードスター mazda roadster
マツダ ロードスター mazda roadster
マツダ ロードスター

 

非力? それとも使いきる楽しさ?

マツダ ロードスターエンジン

 新型ロードスターの魅力は、シフト操作だけじゃない。エンジンの吹き上がりもスムーズで、回転に合わせてパワーが盛り上がっていく。低速域では1.5Lの割には厚めのトルクを感じさせ、高回転域まで回したときの伸びも上々だ。

動力性能の数値は、96kW/7000rpm、150N・m/4800rpmというものだから、自然吸気の1.5Lエンジンとしては比較的パワフルな仕様とされている。ただ、最大トルクに関しては排気量相応という感じの実力である。絶対的にパワフルなエンジン、とはいえないに、吹き上がりの軽快さとパワーの盛り上がりの気持ち良さが、ロードスターの走りをとても楽しいものにしている。

新型ロードスターのレッドゾーンは7200回転から始まるが、そこまできっちり回るのも気持ち良い走りにつながっている。やや非力と感じるかもしれないが、1.5Lエンジンの動力性能だからこそ、それを使い切れる楽しさがある。

マツダ ロードスター内装メーター
マツダ ロードスター トランク
マツダ ロードスターホイールとタイヤ

 

意外と柔らかめなフットワーク。非常に魅力的だが、安いクルマではない!

マツダ ロードスター内装インパネ

 新型ロードスターの乗り心地は、スポーツカーとしては意外なくらいに柔らかめで、乗り心地に優れた足回りの設定となっている。コーナーでは、自然な感じでロールして滑らかに抜けて行く感覚がある。今回から電動式になったというパワーステアリングの操舵フィールも違和感のないものだった。

新型ロードスターで気になるのは価格だ。250万円弱の価格が設定されたSがベースとなる。これは省略される装備が多いので、一般的にはスペシャルパッケージを選ぶことになるはず。そうするとMT車で270万円、AT車は280万円強の設定だ。

スペシャルパッケージ(レザーパッケージも同じ)のMT車には、トルクセンシング式スーパーLSDやリヤスタビライザー、軽量フライホイール、トンネルブレースバーなどが装備されている。逆にAT車にはi-ELOOPやi-stopが設定されている。ベースのSでは、これらが全部省略される形だ。ただし、その分軽量に仕上がっている。

スペシャルパッケージにマツダコネクトのSDナビやオーディオ、セーフティパッケージ(追突軽減ブレーキは設定なし)などを装着すると300万円くらいの予算で買うクルマになる。安いクルマではない。

新型ロードスターの登場を心待ちしていた顧客が数多くいるから、初期受注は大量に集まるにしても、ロードスターは2シーターのオープンカーなので長くたくさん売れるクルマにはならないだろう。当初の需要が一巡した後は、少なめの台数で安定して売れていく形になるだろう。

マツダ ロードスター
マツダ ロードスター内装6ATシフトノブ
マツダ ロードスター内装 カップホルダー

 

 

マツダ ロードスター価格

■マツダ ロードスター価格
・S 6MT 2,494,800円
・S Special Package 6MT 2,700,000円 6EC-AT 2,808,000円
・S Leather Package 6MT 3,034,800円 6EC-AT 3,142,800円

 

 

 

マツダ ロードスター燃費、スペックなど

代表グレード マツダ ロードスターS Special Package
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 3,915×1,735×1,235mm
ホイールベース[mm] 2,310mm
トレッド前/後[mm] 1,495/1,505mm
車両重量[kg] 1,010kg
総排気量[cc] 1,496cc
エンジン最高出力[kW(ps)/rpm] 96(131)/7,000rpm
エンジン最大トルク[N・m/rpm] 150/4,800rpm
ミッション 6速MT
タイヤサイズ 195/50R16
JC08モード燃費 17.2㎞/L
定員[人] 2人
税込価格[円] 2,700,000円
レポート 松下 宏
写真 編集部

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