■さらなる熟成が進んだスバルBRZに最上級グレード「STI Sport」登場
スバルは、スポーツカーのBRZに最上級グレード「STI Sport」を設定し発売を開始した。
スバルBRZは、2012年に登場。トヨタとの共同開発により生まれたモデルだ。トヨタ86とは、姉妹車関係にあり、バンパーなど一部の形状やセッティングに違いがあるものの、基本的に同じクルマである。
搭載されるエンジン低重心の2.0L直噴水平対向4気筒で、ミッションは6MTと6ATでFR駆動となっている。最新のBRZ STI Sportでは、207ps&212Nm(6MT車)までパワーアップされた。
スバルBRZは、デビューからすでに6年目となり、モデル末期へと向かっている。その間、幾度も改良やマイナーチェンジが行われおり、その都度、BRZは熟成されており完成度が高まっている。
今回登場したBRZ STI Sportは、モータースポーツ系のSTIの名が付いているものの、走りに特化したモデルというのではなく、BRZの最上級グレードとして上質感も兼ね備えたモデルだ。
STIとは、スバルのモータースポーツ統括会社であるスバルテクニカインターナショナル(STI)。このSTIとの共同開発により、BRZ STI Sportが誕生した。
こうしたモータースポーツ系のブランドを使うというのは、最近でもスポーツモデル定番的手法となっている。日産はニスモ、トヨタはGRシリーズとしてスポーツモデルを訴求している。
■大人のスポーツカーともいえる上品な仕上がり
スバルBRZ STI Sportの外観は、専用フロントバンパーが装着された。シンプルな面で構成され、エッジの効いた造形でなかなか品の良いスポーティな印象になった。
18インチホイールの隙間から、ブレンボのキャリパーが見え、このBRZ STI Sportがただものではないことをアピール。タイヤサイズは215/40R18で、ミシュラン パイロットスポーツ4が装着された。
そして、注目の足回りは、専用チューニングSACHSダンパー(ZF製)&コイルスプリングにSTI製フレキシブルVバー、STI製フレキシブルドロースティフナーフロントなどを装備。フロア下、燃料タンク下には、フルフロアアンダーカバーも装着され空力特性も見直されている。
そして、インテリアは、高級クーペのような落ち着いた空間に仕立てられた。このクラスのスポーツカーは、ついついカーボン調パネルやブラック&レッドのインテリアといった、見慣れた仕様になりがちだ。しかし、BRZ STI Sportでは「ボルドー」色でコーディネート。シートには本革やアルカンターラを使用し、上質感を出している。
また、メーターパネルやメーターバイザー、ステアリングホイール等に専用パーツを採用し、オリジナリティをアップさせている。
さらに特別感を出すために、特別色のクールグレーカーキのボディを持つ「STI SportクールグレーカーキEdition」を100台限定で生産し、販売予定(抽選販売)だ。
全体的にBRZ STI Sportは、とにかく走りにだけ特化したというよりも、大人がさり気なく高性能なスポーツカーを楽しむためのモデルといった印象が強い。子供っぽい仕様のBRZは嫌、質の高い上品さを求める大人仕様だ。トップグレードということもあり、当然価格も高めで3,531,600円からとなる。
ただ、相変わらず残念なのは先進予防安全装備。スバルにはアイサイトという優れた歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備がある。この安全装備が装着できていない。これは、こうした安全装備が遅れているトヨタに配慮しているのかどうかは不明だが、スポーツカーだからといって先進予防安全装備装備を装着しなくてもいいという理由にはならない。アイサイトの早急な装着を期待したい。
■スバルBRZ STI Sportの真髄はコーナーリング性能にあり!
スバルBRZ STI Sportに乗り込む。サイドサポートのしっかりとしたスポーツシートだが、タイト感はあまりない。座り心地も妙な硬さもなく快適。お尻と腰回りをしっかりと支えてくれるので、安心感がある。
エンジンを始動させてアクセルを踏んでいく。エンジンそのものに変更点はない。エンジンの回転が高まっていくほど、無理やり聞かされる吸気音にいつもながら閉口してまう。BRZ STI Sportは、最上級グレードなのだから、もう少し静粛性を高めたほうがよい。
それはともかく、BRZ STI Sportの真髄はコーナーリング性能にあった。恐らく誰もが、カーブひとつ曲がっただけで分かるほど明快だ。
とにかく、ステアリング操作に対するレスポンスの早いこと。クルマに慣れるために、慎重にゆっくりとステアリング操作したのだが、BRZ STI Sportはクイッと素早くノーズが動く。その後、いっきに旋回に入っていく。想定してクリッピングポイントより、やや手前にBRZ STI Sportが入っていってしまった。それくらい俊敏性が高い。ボディ補強するための数々のパーツ類の効果だ。
■グリグリ曲がるハンドリングマシン!
さらに、驚いたのはアクセルONで良く曲がること。ちょっとタイトなカーブの立ち上がりで、ステアリングを切ったままアクセルを強めに踏んでいった。当然、外側へドンドンと膨らんでいくと予想していたのが、BRZ STI Sportは意外にもグリグリとノーズがイン側に入っていくように曲がっていく。アクセルONでアンダーステア傾向ではなく、オーバーステア傾向ともいえる動きをする。
タイヤのグリップが低ければ、いつスピンするか分からない不安感もあった。だが、上手にセッティングしたなぁと思ったのは、装着するミシュラン パイロットスポーツ4のグリップ力がパワーより勝っていること。そのため、踏んでも曲がるクルマになっていて、タイトコーナーなどではかなり速そうな印象があった。開発エンジニアに聞くと、機敏で回頭性の高い仕様にしたという。
この傾向は、スラロームでも同じ。サスペンションは良く動き、タイヤのグリップも高いため、そう簡単には破たんしない。
ただ、個人的な好みで言えば、アクセルONでアンダーステア気味の方が乗りやすいと感じるタイプなので、BRZ STI Sportでのコーナーリングは、やや緊張が高かった。
BRZのデビュー時には、トヨタ86とそれほど明確な違いはみられなかったが、さすがに6年目ともなると徐々にスバルとトヨタの考え方の違いがハッキリとしたように感じる。今回設定されたBRZ STI Sportは、その最たるグレードともいえるだろう。
BRZ STI Sportの価格は3,531,600円。ひとつ下のグレードとなるGTは3,315,600円。価格差は約22万円。これだけ個性が強くなって約22万円差は、意外とバーゲンプライスともいえる。多少無理してでも、BRZ STI Sportを選んだ方が満足度は高いだろう。
■スバルBRZ STI Sport専用装備など
■足回り
・専用チューニングSACHSダンパー(ZF製)&コイルスプリング
・STI製フレキシブルVバー
・STI製フレキシブルドロースティフナーフロント
・18インチアルミホイール(ブラック塗装)
・215/40R18ハイパフォーマンスタイヤ
・Brembo製4輪ベンチレーテッドディスクブレーキ
■エクステリア
・専用フロントバンパー
・STIエンブレム(フロント&リヤ)
・BRZエンブレム(ブラック)
・専用フロントフェンダーガーニッシュ(STIロゴ入り)
・電動格納式リモコンドアミラー(ブラックカラード)
・ブラックカラードシャークフィンアンテナ
■インテリア
・専用アルカンターラ/本革シート(ブラック/ボルドー、フロントシートヒーター付)
・専用TFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ付メーター(STIロゴ入り)
・専用メーターバイザー(グランリュクス、赤ステッチ)
・専用本革巻ステアリングホイール(高触感革、赤ステッチ、ダークキャストメタリック加飾付)
・専用ドアアームレスト(ボルドー、赤ステッチ)
・専用ショルダーパッド(グランリュクス*5、赤ステッチ)
・ピアノブラック調加飾(エアコンスイッチパネル、パワーウインドゥスイッチパネル)
・STIロゴ入りステンレス製サイドシルプレート
■スバルBRZ STI Sport価格、スペックなど
■寸法・重量
全長(mm) /全幅(mm) /全高(mm) [参考値] 4240×1775×1320 *6
トレッド[前](mm) / トレッド[後](mm) 1520/1540
最低地上高(mm) 130
車両重量(kg) [参考値] 1250(MT)、1270(AT)
車両総重量(kg) [参考値] 1470(MT)、1490(AT)
■エンジン
型式・種類 FA20・水平対向4気筒
2.0ℓ DOHC 16バルブ デュアルAVCS
最高出力[ネット] [ kW(PS)/rpm] 152(207)/7000(MT)、147(200)/7000(AT)
最大トルク[ネット] [N・m(kg・m)/rpm] 212(21.6)/6400〜6800(MT)、205(20.9)/6400〜6600(AT)
燃料タンク容量(ℓ) 50
燃料種類 無鉛プレミアムガソリン
■スバルBRZ STI Sport価格
・6MT 3,531,600円
・6AT 3,591,000円
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