【フォルクスワーゲン 新型 ゴルフトゥーラン 試乗評価】愚直なまでにクルマの真実に取り組んだ「VW哲学」の結晶

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【VW】2010/12/23

 

ゴルフトゥーラン「TSIハイライン」

一見するとマイナーチェンジ、しかしその深化の度合いに驚く

フォルクスワーゲン 新型 ゴルフトゥーラン「TSIハイライン」 1.4リッターTSIエンジン

VW というメーカーのクルマ作りは、時として愚直なほど真摯だ。イヤーモデルごとにクルマがドンドンと洗練され進化していく。同じクルマであっても、毎年新たな感動がある。今回もモデルチェンジされたゴルフトゥーラン もそんな1台。
新型となったVWゴルフ トゥーランは、2004年にデビューし2007年にVWの主流となっているTSI エンジンとDSGミッションを搭載した。今回のモデルチェンジは、基本的にスキンチェンジといわれるもので、基本的なパワートレーンは、2007年のものと同じと考えていい。2010年モデルでは、エンジンを1.4Lの140馬力、220Nm仕様に1本化。装備の差により、コンフォートラインとハイラインの2タイプに変更されている。もちろん、エコカー減税対象モデルだ。

エクステリアデザインは、ドアパネルを除いて一新。現在のゴルフ系の顔で引き締まった精悍なルックスになった。ハイラインには、ヘッドランプの周りをLEDで囲み、オシャレな個性を強調する。しかし、まぁ、VWのデザインはよく言えば隙が無く、悪く言うとつまらない。せっかくのLEDもアウディ のような華やかさは無く、全体に溶け込んでいる。VWのデザインは、まさに質実剛健。アルファロメオプジョーシトロエン などはとは、まさに対極にあるようにボクはいつも感じてしまう。だが、このデザイン、カッコだけではないのがVW流。CD値は0.32から0.299へ向上。機能とカタチが見事に融合している。この空気抵抗の低減は、高速道路を主体とした高速燃費に大きく貢献する。背の高く重いミニバン の燃費をデザインからも良くしたいというこだわりだ。この真摯さには、思わず頭が下がると評価していい。

フォルクスワーゲン 新型 ゴルフトゥーランはエコカー減税に適合する
フォルクスワーゲン 新型 ゴルフトゥーラン「TSIハイライン」 アルミホイール 画像
フォルクスワーゲン 新型 ゴルフトゥーラン「TSIハイライン」 運転席周り 画像

 

DSGもフットワークも、さらに洗練度を増した

フォルクスワーゲン 新型 ゴルフトゥーラン「TSIハイライン」 6速DSG シフトノブ 画像

 デザインの好き嫌いは除き、一度ステアリングを握り走り出すと、感嘆の声しか出ないのがVWの底力。今回のトゥーランもたかがスキンチェンジと思って乗ると、その深化に誰もが驚くはずだ。とにかく、すべてが洗練されていて乗りやすい。エンジンの最大トルクが従来の1500回転から1250回転になった。わずか250回転下がっただけだが、発進直後の僅かなアクセル開度でも自然に力強く反応する。7速乾式DSGのつながりも、よりスムースになった。クラッチのつながりも唐突感はなく、シフトショックもない。普通のトルコン式ATとなんら変わらない快適性を手に入れている。多くのジャーナリストが、DSGがデビューしたときを思い出し「昔のDSGに比べれば、随分スムースになった」を連発。昔、というが、僅か3〜4年前の話である。

そして今回、とくにボクが絶賛したいのはフットワーク。今までのモデルは、比較的カタメの足を使いカッチリとした乗り味だった。このモデルからは、かなりシットリとした足回りになっている。そのため、乗り心地は抜群。恐らく、どのシートに座っていても不満が出ないだろう。だからといって、ハンドリングはダルなワケではない。スポーティとは言わないまでも、しっかりとステアリング操作に反応する。サスペンションも、それなりにロール(傾き)する。だが、タップリととられたサスペンションのストロークを生かし、グウゥーとゆっくりと粘るようなロール(傾き)する。そのため、とくにフロントタイヤのグリップ感がつかみやすいので、運転していて楽しい。背の高いミニバンなのに、運転が楽しいと感じるクルマは希少だと高評価したい。

フォルクスワーゲン 新型 ゴルフトゥーラン「TSIハイライン」 サードシート 画像
フォルクスワーゲン 新型 ゴルフトゥーラン「TSIハイライン」 セカンドシート 画像
フォルクスワーゲン 新型 ゴルフトゥーラン「TSIハイライン」 フロントシート 画像

日本のミニバンたちとの大きな隔たり、それは・・・

フォルクスワーゲン 新型 ゴルフトゥーラン「TSIハイライン」

VWとしては、トゥーランは画像のモデルさんのような若いカップルや子育てファミリー層に乗って欲しいようだが・・・
 日本のミニバンのように、走りよりスペース性と割り切らず、背を高くして多人数乗車を可能にしながらも「クルマはどうあるべきか?」を問い、VWらしい真摯なクルマ作りの結晶がトゥーランかもしれない。そのため、乗員全員のシートには、車重が重くなりコストもかかる3点式シートベルを装備。さらに、重心高が高いミニバンは横転の危険性も高いので、全車に横滑り防止装置であるESPを装備。さらに、6エアバッグまで装着している。多くの日本のミニバンには、後席中央は2点式。ESPに関しては、ほとんどが一部グレードを除きオプション設定。エアバッグは、運転席&助手席が標準で、一部の高級グレードを除きサイド&カーテンエアバッグ類は高価なオプションとなっている。トゥーランのコンフォートラインとハイラインの差は、主に豪華装備類。安全装備に差が無い。つまり、安全性能は全車共通であるという思想だ。安全装備まで、グレード間で差をつける日本のメーカーもぜひとも見習って欲しい。
ということも含め、ミニバンはとにかくスペース&ユーティリティという人には、トゥーランは絶対にマッチしないだろう。スペース&ユーティリティを重視しながらも「クルマはどうあるべきか?」というVWの哲学に共感できる人にとって、トゥーランは最高のパートナーになることは間違いない。
余談だが、ある意味、このトゥーランは、ウルトラマンやワンピース&子供のCMではまった響かないクルマ好き(クルマオタクでもいい)のクルマなんだろうなぁ。

フォルクスワーゲン 新型 ゴルフトゥーラン「TSIハイライン」

オプションで大型サンルーフも選択できるようになった

フォルクスワーゲン 新型 ゴルフトゥーラン「トレンドハイライン」

こちらは新型 ゴルフトゥーランのベーシックグレード「トレンドハイライン」

フォルクスワーゲン 新型 ゴルフトゥーラン「TSIハイライン」 外観 画像

上位グレード「TSIハイライン」

 

代表グレード フォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン TSI ハイライン[2WD]
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4405x1795x1670mm
車両重量[kg] 1580kg
総排気量[cc] 1389cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 140ps(103kW)/5600rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 22.4kg-m(220N・m)/1250-4000rpm
トランスミッション パドルシフト付き7速DSGトランスミッション
10・15モード燃費[km/L] 14.6km/L
定員[人] 7人
消費税込価格[万円] 339.0万円
発売日 2011/1/11
レポート 大岡智彦(CORISM編集部)
写真 CORISM編集部
 リアビュー 画像

 

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(レポート:大岡 智彦

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