BMW2シリーズ アクティブツアラー新車試乗記・評価 BMW初のFF車への心配は杞憂に終わった! 新たなBMWファンを誘引するコンパクトカーの新星となるか? クリーンディーゼルを搭載した218dの魅力は?
BMW2シリーズ アクティブツアラー試乗記・評価の目次
- ミニとは違うBMWらしさをもったFF車が2シリーズアクティブツアラーだ!
- FFのネガティブ要素を極限まで消し去ったハンドリング性能
- 乗り降りのしやすさや、広い室内スペースなど、年齢層を選ばず新たな顧客を獲得できる1台
- BMW 2シリーズアクティブツアラー価格、燃費、スペックなど
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■ミニとは違うBMWらしさをもったFF車が2シリーズアクティブツアラーだ!
BMW ブランドにとって初のFWD(前輪駆動車)となる2シリーズ・アクティブツアラー がデビューした。
BMWグループとしては、これまでMINI(ミニ) でFWDの実績があるが、2シリーズ・アクティブツアラーの味付けはMINIとはまったく異なり純粋なBMWブランドらしく仕上がっていた。
今回はオーストリアのインスブルックをベースにした標高が高い地域での国際プレス試乗会に参加してきたので、そのインプレッションをお伝えしよう。
BMW2シリーズは、1シリーズクーペの後継車としてM235iクーペ、220iクーペがある。これらはRWD(後輪駆動)のBMWであるが、新しい2シリーズ・アクティブツアラーはFWDで新設計のボディを持つ。コンパクトクラスながら大きな室内空間を得るため、やや背の高いデザインである。ボディは全長4342、全幅1800、全高1555、ホイールベース2670(mm)というサイズをもつ。
今回試乗したのは、BMW225iアクティブツアラーとBMW218dアクティブツアラーだ。
BMW225iアクティブツアラーは、2リッター直列4気筒ガソリンターボエンジン(231ps/5000-6000rpm,350Nm/1250-4640rpm)にアイシンAW製の8速ATを組み合わせている。BMWは電子シフト化に進んでいたが、2シリーズ・アクティブツアラーでは普通のセレクターになった。ただし、パーキングブレーキは電動パーキングになり、センターコンソールのiDriveのコントローラーの前にそのスイッチを設けている。
BMW218dアクティブツアラーは、2リッター直列4気筒ディーゼル ターボエンジン(150ps/4000rpm,330Nm/1750-2750rpm)にゲトラグ製の6速MTが組み合わされたモデルが試乗車として用意されていた。
どちらのエンジンも、約1400kgクラスのボディを引っ張るには充分なトルクを備えている。ガソリンはもちろんディーゼルもよく回るエンジンだが、低回転から力があるので高回転まで回さなくても楽に走る。だから室内も静かだし燃費も良いのは当然の結果だ。
4気筒エンジンの他に1.5リッター3気筒のディーゼルとガソリンエンジンも用意される。すべてがターボチャージャー付きだから走りも満足できそうだし、燃費も期待できる。雪国用には横置きエンジン用の新しいデザインのxDriveも追加される予定だ。
■FFのネガティブ要素を極限まで消し去ったハンドリング性能
BMW2シリーズ・アクティブツアラーはFWDだからといって構える必要はない。ハンドリング性能はRWDから乗り換えても違和感のないもの。つまり、FWDの弱点であるハンドル手応えの変化、ワンダリングやトルクステアなどは、よく消されていてほとんど気が付かないレベルになっている。ハンドルを切っていったときの反応は、MINIほどシャープでなく落ち着いていて、普通に走るにもスポーティに走るにもちょうど良い感じだ。ニュートラル付近には、遊び感がなく、切り始めから正確な反応が感じられる。速い操舵でも遅れ感はなく、キビキビと動こうと思うときにも不満はない。
ハンドルを大きく切り込んでいくときにも、フロントが逃げる感じにならず、食い込んでくるからFWDらしくなく、RWDっぽいドライビングが可能になる。タイトコーナーの立ち上がりでも、パワーオンでのアンダーステアは極めて弱く、予定のラインに乗せて走れるから楽しい。FWDのハンドリングにありがちなアクセルオフでよく曲がり、アクセルオンではアンダーにしてツジツマを会わせるセッティングではなく、リヤはきちんとグリップして安定性を高めつつフロントがきちんと仕事をして曲がるクルマである。ちょっと背が高いが、走行中に重心高の高さを感じることはなく、ハイスピードコーナリングもタイトコーナーでも安定感の高いコーナリングが可能だ。
こうした新しいFWDは、今後BMWの1シリーズ、2シリーズ、X1に採用されていくといわれている。RWDファンにとっては心配があったかもしれないが、このアクティブツアラーを運転してみると、それは杞憂であることが判る。
新しいモデルとしては、当然のように電動パワーステアリングを装備しているが、モーターがラックと平行に取り付けられるタイプではなく、ピニオン側に付けられている。
乗り心地はサスペンションの動きがよく、腰があるのにしなやかという感じ。揺すられるような、乗員が上下動するような動きがあまりない。ゴツゴツというような路面の凹凸の衝撃音も伝えて来ないから快適性は高い。ハッチバックスタイルではあるが、ロードノイズの侵入は少なく、耳障りな音も聞こえてこない。コンパクトクラスでも充分な快適性を誇っている。
■乗り降りのしやすさや、広い室内スペースなど、年齢層を選ばず新たな顧客を獲得できる1台
BMW2シリーズアクティブツアラーは、乗り降りするときに腰に負担がかからないから楽だ。地面からシートまでの高さがBMW X1とほぼ同じ(正確にはシートの高さが10mm高いが)なので、キャビンに登るとか、シートに腰を降ろす感じではなく、歩いていってそのまま座れるのである。
ドライビングポジションは、アップライトなスタイルが似合う。フロアからシートクッション部までの高さがあるので、ソファーではなくチェアー風に座る。それでもルーフまでの高さに余裕があるので、ヘッドクリアランスは充分だ。
運転席の前のメータークラスターの上にヘッドアップディスプレイ用のプラスチックプレートが出てくる。走行スピードだけでなく、カラーでナビの案内もする。ドイツ仕様では、その道路の制限スピードや追い越し禁止も表示される。
後席は、オプションの1:2で分割して前後スライドできるシートが備わっていた。3人分の3点式シートベルトとヘッドレストは当然装備されている。ISOFIXに対応したチャイルドシート用アンカーは2席分装備されている。バックレストはリクライニングもでき、前に倒せばラッゲージルームを広く使える。
これまでRWDにこだわってきたBMWだが、ここに来てFWDを採用することになった理由のひとつがコンパクトなボディでも広い室内を持つクルマを創ることだ。前後のシートに座ってみると、それが達成されていることが確認できる。
BMWブランドとしては新しいジャンルのヤングファミリー向けのモデルを創ったわけだが、乗り降りのしやすさ、コンパクト なボディによる取り回しの良さなどは年齢層に関係なく好まれそうだ。そしてBMWグループとして、MINIとはそのキャラクターをしっかりと棲み分けしている点でも、2シリーズ・アクティブツアラーは定着していくだろう。
■BMW 2シリーズアクティブツアラー価格、燃費、スペックなど
■BMW2シリーズアクティブツアラー価格
・218iアクティブ ツアラー
1.5L直列3気筒DOHCBMWツインパワー・ターボ・エンジン 100kW(136ps)/4,400rpm 220Nm(22.4kgm)/1,250-4,300rpm 6速AT
¥3,320,000
・218iアクティブ ツアラー Luxury ¥3,810,000
・218iアクティブ ツアラー M Sport¥3,680,000
・225i xDriveアクティブ ツアラー M Sport
2.0L直列4気筒DOHC BMWツインパワー・ターボ・エンジン 170kW(231ps)/4,750rpm 350Nm(35.6kgm)/1,250-4,500rpm 8速スポーツAT
¥4,940,000
代表グレード | BMW225iアクティブツアラー(欧州仕様車) |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,342×1,800×1,555 mm |
ホイールベース[mm] | 2,670mm |
トレッド前/後[mm] | 1,557/1,558mm |
車両重量(DIN)[kg] | 1,430kg |
総排気量[cc] | 1,998cc |
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] | 170(231)/4,750-6,000 |
エンジン最大トルク[N・m/rpm] | 350/1,250 |
ミッション | 8速AT |
タイヤサイズ | 205/55 R17 |
定員[人] | 5人 |
EUテスト値市街地・郊外合計燃費 | 6.0L/100㎞(16.7㎞/L) |
0-100㎞/h加速[秒] | 6.8秒 |
最高速度[㎞/h] | 235㎞/h |
発売日 | 2014/10/1 |
レポート | 菰田 潔 |
写真 | BMW |
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