シッカリとしたドライビングポジションが取れる全席は高く評価できる。しかし、やや窮屈なリヤシートはロングツーリングでは・・・。
マツダ の新型コンパクトカー であるデミオ に改めて試乗した。前回の試乗は、箱根の芦ノ湖スカイライン を中心にしたタイトなワインディングだったが、今回は指宿スカイラインを中心にしたコースだった。指宿スカイラインは、大きなコーナーが中心で気持ち良く走れるのが特徴で、そのことが走りの印象の違いにつながった部分もある。
鹿児島から指宿までの往路で試乗したのはデミオの最上級グレードとなるXDツーリングのLパッケージだった。1.5Lの直噴ディーゼルターボは発売当初から、低燃費性能と大トルクで高い人気を集めているエンジンである。
デザインについては改めて書くと、大きな開口部を持つフロントグリルのデザインにだんだんに慣れてきた感じである。アテンザやアクセラでは気になったが、デミオでは大きさがあまり気にならなくなった。
アテンザ では、ボディの余裕を生かしておおらかなデザインとしていたが、デミオではボディサイズの制約から密度感のあるデザインとしている。そのことが逆に好影響を与えているのだと思う。
デミオのインテリアデザインは、ほかのコンパクトカーとは異なる独特のデザインを採用する。運転席に座ってエンジンを始動すると、ヘッドアップディスプレーが立ち上がってくる。コンパクトカーでは、少ない特徴的な装備だ。助手席側に横長のパネルが広がり感を表現しているのも良い。
インストの高めの位置に配置された液晶パネルとコンソールのダイヤル式のコントローラーは良いが、カーナビの仕様が物足りないのは残念なところ。今回の試乗では目的地、経由地などの設定がうまくいって特に問題はなかったが、使い勝手の面ではまだまだ改善の余地があると思う。
デミオのパッケージングに関しては、改めて文句を言っておきたい。ボディを拡大したのに、それが後席の居住空間の拡大にはつながらず、後席が窮屈な感じなのは物足りない。フィットとは勝負にならないと諦めるのではなく、この点でも勝負して欲しいと思う。
デミオは、ボディの延長をフロント部分に使ったことで、自然な姿勢で運転できるようにしたのは良い点だ。コンパクトカーでは、ホイールハウスの出っ張りなどが影響してまともなドライビングポジションがとりにくいのだが、デミオではそれがなく普通に座って真っ直ぐに足を伸ばすとそこにペダルがある。素直に最適のドラポジが取れるのは良いことだ。
中高速コーナーでは、フロント部分の重さがあまり気にならなくなる!? 音、振動、排ガスなど、世界最先端の実力をもつクリーンディーゼルエンジン車
デミオXDツーリングLパッケージは、6速MT車と6速AT車で50kgも重量が違い、その分が丸々フロント荷重の違いになっているため、先に箱根で走らせたときには、タイトコーナーでやや曲がらない傾向が気になった。それが、今回の試乗コースは全体に緩やかなコーナーが連続する設定となっていたためか、曲がりにくい傾向があまり気にならなくなっていたのだ。走行シーンで印象が違い、今回は好印象だったのをまず指摘しておきたい。
デミオの250N・mを発生する直噴クリーンディーゼル ターボの走りは、文字通り気持ち良いものだ。トルクの余裕からあまりアクセルを踏み込むことなく滑らかに加速が伸びていくので、大排気量車を余裕で走らせているような感覚になる。
アクセルを踏み込めば、吹き上がりは軽快だ。ガソリンのスポーティカー並みとまではいえないが、平均的なガソリンエンジンと変わらないスムーズさで回転が上昇していく。昔のディーゼル車にありがちなもっさりした感じを与えることがない。この軽快さも良いものだ。
さらに、高く評価できるのが音振だ。デミオのディーゼルは、走らせているとディーゼルであることを感じさせない。アイドリング時に車外音を聞いたり、低速走行時のエンジン音などは、ディーゼルであることを感じさせるが、それでもディーゼルとしては相当に静かである。
BMW のクリーンディーゼル車である320d試乗しているが、アイドリングから低速域での騒音や振動は、デミオのほうがはるかに上位にあると思う。ディーゼルであることを意識せずに乗れるのが、デミオのもうひとつの長所である。
ほかにもクリーンな燃焼を実現することで、N0xを後処理するための触媒を必要としないディーゼルに仕上げているのも良いところで、この点でもデミオのクリーンディーゼルは世界の最先端をいっている。
マツダ デミオ価格、燃費、スペックなど
■マツダ デミオ SKYACTIV-D(クリーンディーゼル車)価格
・XD 2WD(FF) (6MT) 1,782,000円/(6EC-AT) 1,782,000円
4WD(6EC-AT) 1,976,400円
・XD Touring 2WD(FF) (6MT) 1,944,000円/(6EC-AT) 1,944,000円
4WD (6EC-AT)2,138,400円
・XD Touring L Package 2WD(FF) (6MT) 1,998,000円/(6EC-AT) 1,998,000円
4WD(6EC-AT) 2,192,400円
■マツダ デミオ SKYACTIV-G(ガソリン車)価格
・13C 2WD(FF) (6EC-AT) 1,350,000円
4WD(6EC-AT) 1,544,400円
・13S 2WD(FF) (5MT) 1,458,000円/(6EC-AT) 1,458,000円
4WD(6EC-AT) 1,652,400円
・13S L Package 2WD(FF) (5MT) 1,717,200円/(6EC-AT) 1,717,200円
4WD(6EC-AT) 1,911,600円
代表グレード | マツダ デミオ XD Touring L Package(FF) |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,060×1,695×1,500mm |
ホイールベース[mm] | 2,570mm |
トレッド前/後[mm] | 1,495/1,480mm |
車両重量[kg] | 1,130kg |
総排気量[cc] | 1,498cc |
エンジン最高出力[kW(PS)/rpm] | 77(105)/4,000rpm |
エンジン最大トルク[N・m/rpm] | 250/1,500-2,500rpm |
ミッション | 6速AT |
タイヤサイズ | 195/60 R16 |
JC08モード燃費 | 26.4㎞/L |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 1,998,000円 |
レポート | 松下宏 |
写真 | 編集部 |
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