三菱アウトランダーPHEV試乗記・評価 ビルシュタイン製サス&ボディ剛性アップで、走りの質が大幅に向上した新グレード「Sエディション」

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【三菱】2017/05/02

 

■よりEVらしさをアピールする2017年モデルのアウトランダーPHEV

三菱アウトランダーPHEV Sエディション

SUVを得意とする三菱が送り出したクロスオーバーSUVが、三菱アウトランダーだ。これをベースに、2.0Lの直列4気筒エンジンにモーターを組み合わせ、プラグインハイブリッド車としたのがアウトランダーPHEVだ。

三菱アウトランダーPHEVは、毎年のように商品性を高めるためのアップデートを行ってきたが、17年モデルは2月に登場した。外観に変化はないが、メカニズムは大きく進化させている。PHEVのシステム制御などを見直し、新たにEV走行を優先させ、可能な限りエンジンを始動させない「EVプライオリティモード」を設定した。

また、充電制御にも改良を加え、急速充電の時間を30分から約25分に短縮している。先進安全装備も充実した。ホールドモード付き電動パーキングブレーキを採用し、追従クルーズコントロール(ACC)は停止まで行うように進化している。自動ブレーキのセンサーは、カメラとレーザーレーダーを併用するタイプに変わり、待望の歩行者検知機能も加わった。

ただし、ACCは停止保持機能を盛り込んでいない。使う場面が多いし、欧州勢では常識となりつつあるだけに、未採用は残念と感じてしまう。

三菱アウトランダーPHEV Sエディション
三菱アウトランダーPHEV Sエディション
三菱アウトランダーPHEV Sエディション

 

三菱アウトランダーPHEV Sエディション

■ビルシュタイン製サスで、よりスポーティな走りを目指したSエディション

三菱アウトランダーPHEV Sエディション

 三菱アウトランダーPHEVのプレミアムグレードと位置づけた「Sエディション」を設定したこともニュースのひとつだ。

メカニズム面のハイライトは、名門ビルシュタイン社製のショックアブソーバーを採用し、走りの質を高めたことである。構造用接着剤を使ってボディ関係の剛性も高めた。このSエディションは、専用のレザーシートを装備し、メーターやセンターコンソール、ドアアームレストなどにもレッドステッチを施している。電動ガラスサンルーフも標準装備だ。

センターコンソールに新設されたEVプライオリティモードのスイッチを押してスタートした。充電状態がよければモーター走行を行い、エンジンは始動しない。アクセルを踏み込んで加速すると、モーターならではの滑らかな走行を披露する。今までと違って、アクセルをグッと踏み込んでもエンジンはかからなかった。高速道路でもEV走行を続け、伸びのよい加速を存分に楽しむことができる。静粛性もワンランク高められた印象だ。

アウトランダーPHEVは、従来モデルより制御が緻密になっている。力強い発進加速に加え、スムースさにも磨きがかけられていた。モーター走行の領域が広いから、鋭い瞬発力を楽しめる。

三菱アウトランダーPHEV Sエディション
三菱アウトランダーPHEV Sエディション
三菱アウトランダーPHEV Sエディション

 

 

■構造用接着剤を使用してボディ剛性もアップ!

三菱アウトランダーPHEV Sエディション

 Sエディションは加速したときの静粛性とボディの剛性感も向上していた。剛性アップや遮音材の追加により、振動と騒音も大幅に減り、快適性が高まったのだろう。構造用接着剤を使用しているのは、試乗したSエディションだけだ。が、効果が大きいことは明らかだから、早急に他のグレードにも拡大採用することを望みたい。

モーターの効率が落ちる高速走行や急加速したときは、エンジンが主役になる。だが、マイナーチェンジ前のモデルよりはるかに静かだった。

構造用接着剤の効果は、ハンドリングとフットワークにも現れている。ビルシュタイン製ショックアブソーバーと構造用接着剤の採用に加え、サスペンションの設定を見直して剛性アップに取り組んだ。

また、ヨーロッパの道路を走り込んで、セットアップを行った。これが功を奏し、一体感のある気持ちいいハンドリングを実現している。操舵フィールは軽やかだ。スピードを上げるにつれ、しっとりとした操舵感になり、落ち着きを増す。コントロールできる領域、これも従来モデルより広げられた。路面に関わらず足の動きがよくなり、追従性が向上している。

ブレーキ制御を行うAYCを組み込んだS-AWCを採用しているが、これは滑りやすい路面だけでなくワインディングロードなどでもコントロール性の向上にも大きな効果を見せつけた。タイトコーナーでもアンダーステアを上手に抑え込み、狙ったラインにたやすく乗せることができる。ビルシュタイン製ショックアブソーバーの採用と相まって、意のままに狙ったラインに乗せることができるようになった。

Sエディションは無駄な動きが減り、S字コーナーを駆け抜けたときの追従性と接地フィールもよかった。高速走行でも路面を上手にいなし、乗り心地がよくなっている。

ただし、低速ではちょっと乗り心地が硬めと感じる場面があった。いくつか気になるところはあるが、充電インフラが整っている環境にある人にとっては魅力的なクロスオーバーSUVだ。4WDの実力が高いこと、これもライバルに対し優位に立つところである。

三菱アウトランダーPHEV Sエディション
三菱アウトランダーPHEV Sエディション
三菱アウトランダーPHEV Sエディション

 

■三菱アウトランダーPHEV価格

■三菱アウトランダーPHEV価格
・M 3,659,472円
・G Safety Package 3,973,860円
・G Navi Package 4,324,860円
・G Premium Package 4,681,260円
・S Edition 4,789,260円

■三菱アウトランダーPHEV燃費、スペックなど

<三菱アウトランダーPHEV S Edition>
・全長×全幅×全高  4695×1800×1710mm
・ホイールベース 2670mm
・トレッド前 / 後 1540/1540㎜
・タイヤサイズ 225/55R18
・車両重量 1900㎏
・最小回転半径 5.3m
・乗車定員 5 名
・駆動方式 4WD
・モーター 搭載数 2 基 (フロント 1、リヤ 1)
・モーター最高出力 フロント:60kW、リヤ:60kW
・モーター最大トルク フロント:137N・m、リヤ:195N・m
・バッテリー
種類 リチウムイオン電池
総電圧 300V
総電力量 12kWh
・エンジン
2.0L 4 気筒 MIVEC ガソリンエンジン
最高出力87kw[118ps]/4500rpm、最大トルク186N・m[19.0㎏-m]/4500rpm
・ハイブリッド燃料消費率(JC08 モード) 19.2㎞/L
・充電電力使用時走行距離 60.2km/L

 

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(レポート:片岡 英明

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