完成度の高さは市販車と同等レベル
量産直前のクルマということもあり、もはやケチの付けようがないほどの完成度。インパネ周りは、ハンドル上部にあるアッパーメーターとロアメーターの二つに分けられている。アッパーメーターには、時速や外気温など視認頻度が高い情報がまとめられている。ロアメーターには、バッテリーの充電状況、航続可能距離、エネルギー回生量などが並ぶ。
電気自動車ならではの独特の走り
一気にスピードが乗せられる。そもそもエンジンが無いので静粛性が高いのだが、スピードが上がると、その分ロードノイズや風きり音が聞こえてくる。そのため、リーフは遮音性能や風きり音低減の技術がテンコ盛りだ。大きく出っ張ったヘッドライトも、風きり音低減のためのデザインなのだ。
リーフのフットワークは独特だ。大きく重い電池を車両の中央に設置。そのため、重量バランスに優れ、重心も低い。まるでスポーツカーのようなフットワークをもつ。ただし、電池の設置でフロアが上がった分、着座位置が高い。そのため、スポーツカーのようなフットワークなのに、ミニバンのような着座位置になり、慣れないとちょっと違和感があるかもしれない。
EVのネガ要素として、航続距離の短さが上げられている。そのため、できるだけ航続距離を延ばすために、ECOモードが設定されている。このモードを使用すると、若干パワーを絞り、回生ブレーキを強め、エアコンをマイルドにするなどし、約10%航続距離を延ばすことができた。アメリカのLA4モードでは、160km以上の走行が可能となっている。この航続距離を少しでも伸ばすために、現在でもリーフの軽量化が図られており、未だ車両重量は未公開なのだとか・・・。
IT技術を駆使して不便さを解消
リーフのすごさは、こういったハードだけではない。携帯電話の端末とナビを使ったITシステムによる運転支援のソフトも秀逸だ。ナビ上に表示される充電スポットの更新や携帯電話を使ったリモートコントロールなどがあげられる。離れている場所から、充電時間のタイマー設定や充電状態の確認、エアコンのオン・オフ操作などが可能。EVを使う上で不便だと思えることを、IT技術を駆使して不便さを楽しさに変えている。EVで日産が世界をリードするための本気度が伝わってくる。
ただし、説明会時に声高に「外部から携帯電話を操作するだけで、誰もいない車内のエアコンを入れることができ、リーフに乗る前に快適な車内環境を作れる」と繰り返していた。ゼロエミッション車とはいえ、電気を作るにもエネルギーは使われているのだから、無駄に電力を使うような手法をアピールするのはいかがなものか? と感じてしまった。走行モードをECOにすると、モーターやエアコンの電力を抑制するのに、動いてもいない状態で電力を消費するのはエコでもなく、ただの無駄ではないのだろうか?
EV普及のカギともいえる充電器の設置にも、日産は積極的だ。地方自治体任せではなく、普通充電器の設置を日産ディーラー約2200、さらに急速充電器の設置約200を計画している。24時間使用可能なのか? 使用料金はいくらなのか? などなど、まだまだ現実的になっていないことも多い。いつまでにヤルという時期が明らかにされていないので、少々不安でもあるが、これだけヤル! と、決めて動いている姿勢は、評価したい。
クラウンやカローラのトヨタから、プリウスを始めとしたハイブリッド技術でハイブリッドのトヨタと呼ばれるようになり、その技術では世界をリードする。対して、EV技術で世界のトップとなりEVの日産と呼ばれる日も近い。リーフが発売され街を走りだす2010年12月まで、あと半年。楽しみでならない。
【2010/12/03いよいよ正式デビュー!】
■【日産 新型 リーフ 新車情報】待ちに待った日産リーフ、ついに発表[2010.12.03/CORISM]
■12/3、いよいよ電気自動車「日産 リーフ」がデビューした![国沢 光宏 コラム][2010.12.03/CORISM]
代表グレード | 日産 リーフ[プロトタイプ] |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4445×1770×1550mm |
定員[人] | 5人 |
駆動方式 | モーター前置き、前輪駆動 |
電池 | ラミネート型リチウムイオンバッテリー |
電動機 | 交流同期モーター80kW/280Nm |
最高速度 | 140km/h以上 |
主要装備 | 専用ITシステム |
定員[人] | 5人 |
消費税込価格[万円](予定) | 376.0万円〜(補助金を含む実質価格は299.0万円〜) |
発売日 | 2010年12月(予定) |
レポート | 大岡 智彦 |
写真 | 近藤 暁史 |
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