スズキ スイフト新車試乗評価 クラストップの燃費26.4㎞/L とストレスない走りを実現したデュアルジェットエンジン!

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【スズキ】2013/09/16

 

 

スズキの危機感から大幅進化したスイフト

スズキ スイフト

 最近、スズキの技術陣は気合が入っている。スズキはこのところ、ダイハツ軽自動車首位の座を奪われて久しく、さらにホンダがNシリーズで絶好調の売れ行きを示すなど、かなり追い込まれた状況にあった。

そんな状況にあるからこそ、ワゴンRが燃費や安全装備や大きく巻き返しを見せてきたし、今回は小型車のスズキ スイフトにも新技術の投入で大幅な燃費向上を図るなど、目に見えてクルマを良くしてきた。

スズキ スイフトには、デュアルジェットエンジンと呼ぶインジェクターを2個装着した新エンジンを搭載した。これにより、スイフトはFF車の燃費を21.8km/L(アイドリングストップ機構)から26.4km/Lへと、一気に20%以上も向上させている。

これは、当然ながら1.2Lエンジンの搭載車としてはトップの燃費であり、ガソリン車ではミラージュの1.0Lエンジンが27.2km/Lを達成しているのに次ぐ数字である。

これまでのスイフトは、スイフトスポーツのようなスポーツモデルではない標準車でも、けっこう良く走るクルマという評価を得ていた。しかし、同時に走りは良いけど燃費はさほど良くないという評価も得ていた。その燃費の部分を改良したのが今回のモデルである。

スイフトに搭載されたデュアルジェットエンジンは、燃焼室形状の工夫や、吸気ポートの最適化などに加え、1気筒当たり2個のインジェクターで燃料を霧状にして噴射し、燃焼効率を高めている。ほかにも圧縮比を高めると同時にクールドEGRを採用するなどの改良も加えられた。

ほかに、ワゴンRから採用が始まったエネチャージやエコクールなどのスズキのグリーンテクノロジーも今回のスイフトに搭載されている。これも、燃費に貢献している。

結果として、67kW/118N・mというパワー&トルクの数字を損なうことなく、燃費を向上させている。さらに、最大トルクを発生する回転数は下がっているから、これは実用燃費を良い方向に向かわせる要素になる。

少しばかり残念なのは、スイフトの標準車の中でも軽快な走りで定評があった特別仕様車のRSに今回のデュアルジェットエンジンが搭載されていないこと。4WD車はデュアルジェットになったのだが、FF車は従来のままで、アイドリングストップ機構も付かないので20.6km/Lの燃費にとどまっている。RSのFF車にも早期にデュアルジェットを搭載してほしい。

スズキ スイフト
スズキ スイフト
スズキ スイフト
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エコカーにありがちな加速ストレスのないスムースな走り

スズキ スイフト

 改良されたスイフトは、普通に良く走るという印象だった。これまでの軽快さがスポイルされることなく、燃費の良いエンジンに仕上げているのは良い点だ。

軽くアクセルを踏むだけでスムーズに走り出すし、ペダルを踏む足に力を入れれば滑らかに加速が伸びていく。燃費の良いエコカーにありがちな加速時のストレスを感じさせることなく、自然な走りが得られる。

燃費の良い状態のときには、メーターパネルに緑色が表示されて、エコドライブを促してくれるし、アクセルペダルから足を離せばそれが白く変わってエネチャージが効いているのが分かる。

夏場の暑い日の試乗だったが、信号待ちのたびにエンジンが止まってアイドリングストップ機構がすぐに働いたのは、エネチャージによる回生充電の効果である。しかも、エコクールによってそれが長続きしたのは、実用燃費につながっているはずだ。夏場のエコドライブは、スイフトの本領発揮というところなのだろう。

試乗車に装着されていたタイヤはBSのトランザで、空気圧も250/220という今どきのタイヤとして普通のレベル。今回の試乗では、ワインディングなどを積極的に走ったわけではないが、乗り心地も操縦安定性もこれといった不満を感じなかった。

スイフトのデュアルジェットエンジンの搭載車は、普通のエンジンを搭載したモデルに比べると12万円ほど高くなっている。これは燃費で単純に取り戻せる価格差ではないが、デュアルジェット搭載車はエコカー減税で免税扱いになる。普通のガソリン車は50%の減税だから、この分で実質的な価格差が縮まり、経済的な合理性も出てくる。

なお、今回のスイフトの改良では、内外装のデザインに変更が加えられたほか、横滑り防止装置のESPが全車に標準装備された。これは大いに歓迎していい。ただ、ワゴンRには衝突回避・軽減ブレーキのレーザーレーダーブレーキが採用されているので、できればスイフトにも設定して欲しいところだった。

スズキ スイフト
スズキ スイフト
スズキ スイフト

 

スズキ スイフト価格、スペック、概要など

スズキ スイフト

■スズキ スイフト価格
XG 5MT 2WD 1,279,950円
CVT 2WD 1,279,950円
4WD 1,489,950円
XG-DJE 2WD 1,397,550円
4WD 1,576,050円
XL 5MT 2WD 1,367,100円
CVT 2WD 1,367,100円
4WD 1,577,100円
XL-DJE CVT 2WD 1,484,700円
CVT 4WD 1,663,200円
XS CVT 2WD 1,491,000円
CVT 4WD 1,701,000円
XS-DJE CVT 2WD 1,608,600円
CVT 4WD 1,787,100円
特別仕様車スイフト RS
5MT 2WD 1,426,950円
CVT 2WD 1,426,950円
CVT 4WD 1,636,950円

■「スイフト」一部改良の主な特長
<新エンジンとエネチャージで、低燃費と力強い走りを実現>
26.4km/L※2の低燃費を達成
XG-DJE、XL-DJE、XS-DJE 2WD・CVT車は、「デュアルジェット エンジン」と「エネチャージ」をはじめとする「スズキグリーン テクノロジー」の搭載により、従来アイドリングストップ車※4(21.8km/L※5)に対し、約21%向上(+4.6km/L)となる26.4km/L※2を実現した。
※4 XG アイドリングストップ、XL アイドリングストップ 2WD・CVT車比。
※5 燃料消費率JC08モード走行(国土交通省審査値)

<デュアルジェット エンジン(XG-DJE、XL-DJE、XS-DJE、XG・XL・XS・特別仕様車スイフト RSの4WD車)>
K12B型エンジンをベースとし、圧縮比アップ(11.0→12.0)による燃焼効率の改善や、各種エネルギーロスの低減などにより熱効率を極限まで追求した新開発エンジンを採用。低燃費と力強い走りを両立した。
これらの性能を実現する為、1気筒あたり2本のインジェクター(燃料噴射装置)を装備したデュアルインジェクションシステムを採用した。

<デュアルジェット エンジンを支える主な技術>
最適な燃焼室形状の工夫
圧縮比を高めるために燃焼室をコンパクト化し、ピストン上部もなだらかな凹形状にしたことで、小径化した吸気ポートからつくられる吸気の強い渦を保持し、燃焼室内の筒内流動を強化。燃焼室内の火炎伝播速度が上がることで、熱効率が向上した。さらに火炎の偏りも改善し、ノッキングを抑制する。
デュアルインジェクションシステムの採用
1気筒あたり2つのインジェクターを設置。デュアルインジェクターで燃料を霧状に微粒化して噴射し、燃料が燃えやすくなることで熱効率が向上。インジェクターの配置を燃焼室に近づけ、噴射タイミングを適正化させることで筒内直入率を高め、ノッキングも抑制する。
クールドEGRシステムの採用
排出ガスの一部を冷却して燃焼室内に再循環させて燃焼温度を下げ、圧縮比アップに伴う筒内温度上昇によるノッキングを抑制する。*EGR…Exhaust Gas Recirculation
冷却性能の向上
ウォータージャケットの形状の改良や、ピストンの裏側にオイルを吹き付けて冷却するピストンクーリングジェットの採用により冷却性能を高め、ノッキングを抑制する。
低フリクション化
ピストンをはじめ、シリンダー、クランクシャフト、タイミングチェーン、オイルポンプなどに様々な改良を施すことで、さらなるフリクション(摩擦抵抗)の低減を図った。

<エネチャージ(XG-DJE、XL-DJE、XS-DJE)>
既存のアイドリングストップ車専用の鉛バッテリーに加え、高効率なリチウムイオンバッテリーと高効率・高出力のオルタネーターを併用した、スズキ独自の減速エネルギー回生機構を採用。

<新アイドリングストップシステム(XG-DJE、XL-DJE、XS-DJE)>
停車前の減速時、アクセルを離したときから燃料をカットし、さらにブレーキを踏んで13km/h以下になると自動でエンジンを停止する「新アイドリングストップシステム」を採用。

<エコクール(XG-DJE、XL-DJE、XS-DJE)>
アイドリングストップ中、エアコンが停止し送風状態になった時、蓄冷材を通した冷風を室内に送ることで車室内の温度上昇を抑制する機構を搭載。

<低燃費運転の支援(XG-DJE、XL-DJE、XS-DJE)>
運転状態や、エネチャージ作動時のエネルギーフローの表示などによりエコドライブをサポートする専用メーターを採用した。

<ステータスインフォメーションランプ>
通常運転時は青、燃費効率が良い運転状態では緑、エネチャージ作動時は白色に変化する。
エネルギーフローインジケーター
走行時やエネチャージ作動時のエネルギーフローを表示。充電状態もひと目で確認できる。

<エコスコア>
運転時の状態を採点し、エコドライブ度を木の葉のアイコンによって20段階に表示。
マルチインフォメーションディスプレイ
アイドリングストップ時間・節約燃料、平均燃費や航続可能距離など、エコドライブに役立つさまざまな情報を表示。

<ESP(R)(車両走行安定補助システム)を全機種に標準装備>
各種センサーで走りを監視し、タイヤのスリップや横滑りを抑制するESP(R)を標準装備した。

<エモーショナルなデザイン>
躍動感あふれるエクステリア
躍動感あふれる新形状のフロントバンパー、グリルを採用。
ロアグリルはよりワイドに、ラジエーターグリルは立体感のあるメッシュタイプとし、スポーティーさと力強さを調和させた。
フォグランプベゼルに上質な印象のLEDイルミネーションランプを採用(XS、XS-DJE)。
力強い走りをイメージさせる新デザインの16インチアルミホイール(XL、XL-DJE、XS、XS-DJE)。
上質なインテリア
ブルーの差し色を用いた、光沢感のあるファブリックシート表皮を採用。スポーティーさを保ちながら、華やかな印象を加えた上質なインテリアとした。

<ボディーカラー>
新色の薄い青色「ルミナスブルーメタリック」をはじめ、全6色の車体色を設定。

<特別仕様車「スイフト RS」の一部仕様変更>
迫力あるフォルムを演出する、専用開発のフロントアンダースポイラーやリヤアンダースポイラーを採用し、全長を25mm拡大。
スポーティーな印象を高める、新開発の専用ファブリックシート表皮。
走りへの自信を主張する、新デザインのRS専用リヤエンブレム。

スズキ スイフト
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(レポート:松下 宏

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