遂に発表されたマツダの次世代エンジン「SKYACTIV-G」 〜ハイブリッドなしで30.0km/Lの超低燃費、その真相に迫る!〜[国沢光宏 コラム] [CORISM]
【その他】2010/10/23
マツダの次世代直噴ガソリンエンジン、「SKY-G」あらため『SKYACTIV-G(スカイアクティブ ジー)』
フィットハイブリッドと同じ燃費、モーターアシストなしにどうやって達成する!?
マツダ 次世代直噴ガソリンエンジン「SKYACTIV-G」向けキャビティ付きピストンの形状(左)。右の従来型の形状と比較すると違いが良く分かる。
マツダは「2011年春に行うデミオのマイナーチェンジで、新世代の低燃費エンジンである『スカイアクティブG』を搭載し10・15モードで30km/Lという燃費を実現する」と発表した。30km/Lと言えばフィット・ハイブリッドと同じ燃費。果たしてどんなエンジンなのだろうか?
まず基本となる技術は「徹底的な熱効率の追求」である。筆頭が14という常識外れに高い圧縮比だ。圧縮比を高くすれば熱効率良くなると解っていても、ノッキングを発生させてしまい燃焼状況まで悪化。そんなことからレギュラーガソリンだと11くらいで限界とされていた。
マツダの開発チームは、ロングストロークを採用。良好な燃焼室形状とし、さらに写真のようにピストン中央部にキャビティと呼ばれる凹みを設けた。この凹みの中に燃料を吹き(直噴です)、安定した燃焼を行う。ピストン位置が下がるとさらに燃焼室形状は良くなり、燃焼エネルギーも有効に使えます。
ちなみに今までの報道で、スカイアクティブGはタコ足排気の採用やハイオクガソリンの使用を前提としていると言われていたけれど、デミオに搭載される1.3リッターの場合、両方とも不要。レギュラーガソリンで14という常識外れの高圧縮比を実現しているという。
吸気系は現行デミオにも採用されているミラーサイクルを使う。排気量こそ1.3リッターながら、バルブを遅閉じすることによって吸気量を減らしている。つまり1.2リッターと同じ程度の燃料消費量でいながら、1.3リッターに近いエネルギーを取り出そうというもの。
加えて低負荷状態では高圧縮比とミラーサイクルの特性を活かし、ほぼスロットル全開のままエンジン出力をコントロールしているそうな(変速機は高目のギア比をセレクトする)。この領域でエンジンを稼働させれば、プリウスのエンジンと同じくディーゼルに近い熱効率になると思う。
「SKYACTIV-G」は軽量化や機械抵抗の低減など、基本的な改善も地道にひとつひとつ積み重ねられて生まれた。
こちらは次期型アテンザなどに積む予定の2.0リッター版「SKYACTIV-G」に関する燃費性能資料。現行ディーゼル並みの性能なのが分かる。
[資料提供:マツダ]
[資料提供:マツダ]
同じく2.0リッター版の出力性能に関する参考資料。低中速トルクで従来比約15%の改善を図った。
[資料提供:マツダ]
[資料提供:マツダ]
2011年前半デビューの超低燃費 新型「デミオ」、その価格を予想する!
マツダ デミオ[画像は現行型モデル]
現行モデルは最高で23.0km/Lの10・15モード燃費をマークする
現行モデルは最高で23.0km/Lの10・15モード燃費をマークする
マツダのリリースによれば、エンジンで15%の燃費改善を実現している模様。計算すると、現在23km/Lのデミオが26.45km/Lになる。こいつに簡易型アイドルストップ(現在のi-stopシステムと違い、バッテリーは1個)も組み合わせ2km/Lの向上。すると30km/Lまで1.55km/Lになる。残りは直噴化によって向上する15%のトルクを上手に使い、低い回転域で走る等して達成するという。価格は現在の『13C-V』グレードの10万円高とすれば、138万5千円くらいか? 同じ10・15モード燃費30km/Lのフィット・ハイブリッドより大幅に安い。売れるか売れないかはマツダのブランドイメージで決まるだろう。
参考までに書いておくと、最大のライバルとなりそうなのが2011年11月にデビューする予定のヴィッツ級ハイブリッド。10・15モード燃費43km/L。160万円を切る価格だと予想されている。
参考までに書いておくと、最大のライバルとなりそうなのが2011年11月にデビューする予定のヴィッツ級ハイブリッド。10・15モード燃費43km/L。160万円を切る価格だと予想されている。
「ホンダ フィット ハイブリッド」(左)はモーターのアシストで30.0km/Lの燃費を達成する。
「日産 マーチ」はアイドリングストップ機構を加え、非装着車+2km/Lの燃費性能26.0km/Lを誇る。
2010年デトロイトショーで公開されたコンセプトカー、トヨタ「FT-CH」。ウワサのヴィッツ級ハイブリッド車のベースと言われている。
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(レポート:国沢 光宏)
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