レクサス LFAは”危険なクルマ”なのか!?その真相に迫る[国沢光宏 コラム]

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【その他】2010/07/08

 

レクサス LFA[画像提供:LEXUS]

ニュルブルクリンクでの不幸な事故・・・聞こえてこない続報の真相は!?

レクサス LF-A エクステリア[画像提供:LEXUS]
 レクサス LFAの事故はどのネットメディアでもトップニュース扱いだったものの、続報が全く出てこない。一部でトヨタの隠蔽工作もウワサされているけれど、そういった動きは聞いていません。単純に警察当局などから情報が出てこないのだと思う。もう一方の当事者も自動車メーカーなので口は硬い。
そんな中「LFAは危険なのではないか」というコメントをよく見かける。この点について考察してみたい。まず衝突安全性の試験は、いろんな意味で普通の状態を基準にしてます。しかし今回のLFA、そもそも発売前の試験車両である。ネットのコメントを見ると「エアバッグが開いていなかった」。
写真だけでは開いていたかどうか確認出来ないけれど、ニュルを走る試験用車両でエアバッグの稼働をキャンセルすることは珍しくない。ジャンプしたり、強烈な縦方向のGを受けることも多いからだ。間違って展開しようものなら、それだけでクラッシュの要因になってしまう。

あくまで推測に過ぎないが・・・

トヨタ自動車 GAZOOレーシング テストドライバー 成瀬 弘 氏

トヨタ自動車テストドライバー 成瀬 弘 氏

 また、ドライバーがヘルメットを被っていた可能性高い。「公道でヘルメットを被ること自体おかしいでしょ? それともそんな乱暴な運転をしていたのか?」みたいな意見も見る。ニュルに行ったことのある人なら、事故の起きた道はヘルメット装着が珍しくないことを知っています。この時期、ニュルに行くとスクープカメラマンがウヨウヨいる。各メーカーのテスト拠点からニュルのコースまでドライバーの顔を隠すためヘルメットを被るのは常識なのだ。だからこそLFAと衝突したBMWもヘルメットを被っていた。このことが今回の事故で悪い方向に振れた可能性大。
というのもヘルメットは人間の頭(4kgくらいある)を無視出来ないくいらい重くしてしまう。エアバッグさえ展開すれば受け止めてくれるものの、今回は前述の通り稼働をカットしていたかもしれない。こうなると首を支えている頸椎に決定的なダメージを受けてしまうだろう。
もう一つ。今回のLFAはサーキット仕様車のため、ロールケージが入っていた。これまたクルマのボディ強度を設計値以上にしてしまう。つまり硬かったかもしれない、ということ。衝突安全を語るとき、よく戦車の例が出る、車体は壊れないけれど、中の人間が受けるダメージたるや大。
以上、総合して考えると、衝突時、ロールケージで固められたボディにより大きな減速Gが出た。通常の状態なら許容できたかもしれないけれど、ヘルメットを被っており、しかもエアバッグは展開させないように設定していたなら、一段と厳しい減速Gを受けたと予想される。
というのも現時点での推測に過ぎない。正確な状況が判明するまで、早くて3ヶ月。もしかすると1年くらい掛かるかもしれません。稀代の名テストドライバーだった成瀬 弘さんのご冥福を祈りすると共に、お怪我をされたBMWの乗員のお見舞いを申し上げます。

 

 

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