トヨタ クラウン新車情報・試乗評価一覧 アスリートに待望の2.0Lターボエンジン搭載! しかし、自動ブレーキ関連のトヨタセーフティセンスPの装着は見送り・・・ [CORISM]

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【トヨタ】2015/10/13

クラウン専用にチューニングされた2.0Lターボは235ps&350Nmを誇り、燃費は13.4㎞/Lへ!

トヨタ クラウン
 トヨタ は、高級セダン であるクラウン をマイナーチェンジし、発売を開始した。

 14代目となるトヨタ クラウンは2012年12月にデビューした。驚きだったのは、デザイン。保守派セダンの代名詞ともいえるクラウンが、大迫力の大型グリルを採用し大きくイメージチェンジして登場した。そして、ライバル車がドンドンと全幅1,800㎜を超える中、クラウンは全幅1,800㎜を死守。全幅1,800㎜は、国内に多い立体駐車場の制限。これを越えると、車庫証明が取れなくなり都市部に多い立体駐車場を使う顧客に迷惑をかけないための配慮でもある。こうした国内事情に配慮し、この他にも徹底して国内マーケットと向き合って開発されたのが新型クラウンなのだ。グローバル化という名のもとに、国内マーケットを無視し続けたセダンは姿を消し、国産セダンではクラウンが唯一売れているモデルになっている。

 そして、ハード面ではFR車用の直4 2.5Lエンジンを搭載したハイブリッドシステムが搭載された。先代クラウンにあったハイブリッドのV6 3.5Lから直4 2.5Lに変更された。燃費は23.2㎞/Lを誇る。デビュー当時は、クラウンの顧客が直4エンジンを受け入れてくれるかどうか、トヨタ側も不安視していたが、発売直後の受注では約70%もの顧客がハイブリッド車 を選ぶなど大ヒットした。

 しかし、クラウンにも死角があっる。それは、V6 3.5Lと2.5Lエンジンだ。このGR系のエンジンは、デビュー当初こそ、パワフルでスムースだったのだが、ほとんど改良が行われず現在に至っている。そのため、環境性能が問われる現在もアイドリングストップ機能すら装備されておらず、燃費性能が悪くエコカー減税の対象にもなっていない。ハイブリッド車のCVTフィーリングが嫌い、もっと速いクラウン、とにかく安いクラウンという要望をもつ顧客になんとか支えられてきた。

 だが、それにも限界がある。燃費が良いガソリン車の要望は強い。そこで、今回マイナーチェンジしたクラウンには、待望のダウンサイジング2.0L直噴ターボエンジンが搭載された。このエンジンは、アスリート系のみに搭載されている。パワーユニットは、235ps&350Nmを誇る。燃費は13.4㎞/Lとなり、3.5Lエンジンの9.6㎞/Lと比較するとかなりの低燃費エンジンといえる。

 この8AR-FTSと呼ばれる2.0Lターボエンジンは、レクサス NX に搭載されたものと基本的に同じだ。NXは238ps&350Nmで、その後に搭載されたISやRCでは245ps&350Nmとなっている。パワーでやや差が付けられていることにトヨタは、エンジンや排気音、ノイズの問題でクラウンはより静粛性を重視したという。まぁ、それもあるだろうが、やはりかなり高価なレクサスとクラウンが同じエンジンスペックでは、レクサスが高価な理由が無くなるからということも影響しているのだろう。組み合わされるミッションは、8速ATとなりスムースさがさらに向上している。

 ただし、この8AR-FTSエンジンはハイオク仕様。国内マーケットを重視したクラウンであるならば、ピークパワーを若干落としてでもレギュラーガソリン仕様にすべきだっただろう。

トヨタ クラウン
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トヨタ クラウン

物足りない安全装備だが、ボディ剛性アップで際立つ静粛性と乗り心地性能の向上!

トヨタ クラウン
 また、完全に弱点となったのが安全装備。自動ブレーキ関連のトヨタ セーフティセンスPの装着が見送られている。近い将来装備するとしているが、マイナーチェンジした後では、すぐにフルモデルチェンジのタイミングになってしまう。軽自動車 にも装備されている自動ブレーキが、クラウンほどの高級車に装備されていないという状況は、なんとも物足りない。クラウンの購入を考えているのなら、トヨタ セーフティセンスPが装備されてからがお勧めだ。

 自動ブレーキが遅れいる分、世界初採用のITS Connectが採用されている。ITS専用周波数(760MHz)を活用し、クルマに搭載したセンサーでは捉えきれない見通し外の情報や信号などの情報を、道路に設置されたインフラ設備とクルマ、あるいはクルマ同士が直接通信し、ドライバーに知らせることで安全運転を支援する。27,000円、もしくは30,240円という比較的安価でメリットのある装備なのだが、インフラがほとんど整備されていない状況なので、オプションで選んでもあまり現在では意味がない。ただし、インフラ整備が進めば安全運転の強力なアシストになるのは確実。インフラ整備の遅れをクルマ側でフォローしている形だ。

 こうした安全装備の物足りなさを払拭してくれるのが、乗り心地性能と静粛性の高さだ。マイナーチェンジで、ボディ接合部の剛性強化。構造用接着剤の採用に加え、スポット溶接の90ヵ所以上増し打ちした。生産ラインがやや伸びたほどだという。さらに、フロント・リヤサスペンションのチューニング最適化。こうした改良により、クラウンはさらに静粛性と乗り心地性能を向上させている。走りを意識し引き締められた足回りをもつアスリート系でさえ、抜群の乗り心地を誇る。マイナーチェンジ前のモデルと比較すると、まるで違うクルマのように感じるほど進化の幅が大きい。

 その他、デザイン面でも若干変更を受けている。注目したのは、自分だけの特別なクラウンを選べる「ジャパンカラーセレクションパッケージ」をアスリートシリーズにパッケージオプションとして設定。日本ならではの繊細な12色を外板色に設定。さらに、専用の内装色3色との組み合わせにより、自分らしい色を選ぶ歓びを提供している。高級車を買う顧客の多くは、自分だけの特別仕様車にこだわる。欧州の高級車も、多くの外板色や内装色から自分の好みのカラーやマテリアルを選択できる。ある程度制約はあるものの、クラウン顧客の潜在ニーズに対応するパッケージといえるだろう。

 また、カラーは良くも悪くもクラウンらしくない色があり、従来のオヤジ車的なイメージからの脱却を狙っていることも分かる。というのも、クラウンはアグレッシブなグリルを採用し、顧客の若返りを図ったのだが、なぜか高齢者にも人気を得て、逆に顧客年齢は上がってしまったそうだ。ジャパンカラーセレクションパッケージは、デザイン以外で顧客の若返りとイメージチェンジを狙う新たなオプションとして注目したい。

 ターボエンジン追加により、クラウンのエントリグレードはアスリートTは3,880,000円となった。従来の2.5Lより約20万円ほど価格がアップしている。ターボ車の追加により、2.5LのFR車は姿を消し4WD のみとなった。ロイヤルは、ターボ車の設定が無し。エントリグレードはFRの2.5L車ロイヤルで3,730,000円となっている。

 クラウンの選び方は、人気・リセールバリューの高いアスリートを選びたい。ハイブリッド車の価格設定はやや高めだが、燃費などトータルバランスを考えるとハイブリッド車がベストな選択。ターボ車はハイオク仕様になるため、積極的にお勧めできないが、ハイブリッドのCVTフィーリングが嫌いというのなら、ターボ車も良いだろう。

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トヨタ クラウン アスリート/ロイヤル価格

■トヨタ クラウン価格
<アスリートシリーズ>
●ターボ車
・アスリートT 3,880,000円
・アスリートS-T 4,500,000円
・アスリートG-T 5,330,000円
●2.5L車
・アスリートi-Four 4,007,000円
・アスリートS i-Four 4,627,000円
・アスリートG i-Four 5,467,000円
●3.5L車
・アスリートS 5,240,000円
・アスリートG 6,100,000円
・アスリート 4,310,000円
●ハイブリッド車
・アスリートS 4,950,000円
・アスリートG 5,770,000円
・アスリートFour 4,526,000円
・アスリートS Four 5,166,000円
・アスリートG Four 5,986,000円

<ロイヤルシリーズ>
●2.5L車
・ロイヤル 3,730,000円
・ロイヤルサルーン 4,340,000円
・ロイヤルサルーンG 5,140,000円
・ロイヤルi-Four 4,008,000円
・ロイヤルサルーンi-Four 4,618,000円
・ロイヤルサルーンG i-Four 5,377,000円
●ハイブリッド車
・ロイヤル 4,310,000円
・ロイヤルサルーン 4,940,000円
・ロイヤルサルーンG 5,690,000円
・ロイヤルFour 4,526,000円
・ロイヤルサルーンFour 5,156,000円
・ロイヤルサルーンG Four 5,906,000円

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(レポート:CORISM編集部

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