ホンダ フィット ハイブリッド新車試乗評価 フィット3の実燃費を計測! 燃費はイーブン? その他をアクアと比較評価すると・・・。
ホンダ フィット ハイブリッド新車試乗評価の目次
ホンダ フィットハイブリッドの実燃費は? テストコースで実測!
トヨタ とのハイブリッド 戦争に再び挑むホンダのハイブリッド車だけに、期待値はすこぶる高い。北海道にあるホンダの鷹栖テストコースで、新型ホンダ フィット ハイブリッドプロトタイプ車を前に、久しぶり心が踊る。
今回、テストコースであることもあり、新型ホンダ フィットハイブリッドの限界性能を思う存分に堪能できるのだが、それ以上にとにかく実燃費が気になっていた。最近のクルマのCMは、とにかくクラスナンバー1低燃費をアピールしている。そして、フィットハイブリッドの燃費は36.4㎞/Lとなり、世界最高燃費のトヨタ アクア を超えたからだ。
走行したテストコースは、欧州の郊外路をイメージしており、道幅は狭くアップダウンも多い。正直、燃費にはキツイ印象だ。フィットハイブリッドに乗り込み、イグニッションをオン。ホンダ車としては、初となるシフト・バイ・ワイヤが採用されたシフトノブをDレンジに入れる。このフィットハイブリッド専用のシフトノブのデザインは、なかなか近未来を感じさせるデザインで高評価。逆に、ガソリン車のCVT&MTが平凡すぎてしまうほどだ。
フィットハイブリッドのアクセルをゆっくりと踏むと、スルスルぅ〜と無音のまま EV 走行を開始。先代のハイブリッドシステムIMAは、ほとんどすぐにエンジンが始動していただけに、大きな違いだ。60㎞/Lくらいまで加速すると、ほとんどEV走行というわけでなく、エンジンが時々始動する。
アクアにはEV走行モードがあり、これを押せば強制的にEV走行が可能。しかし、フィットハイブリッドは1モーターの7速ツインクラッチ式ミッションで、奇数段がモーターとつながっている仕組みのため、強制的EV化する機能をもたない。そんなフィットハイブリッドだが、JC08モード測定条件では、1モーター式のフィットハイブリッドなのだが、2モーター式のアクア と同等なEV走行が可能だという。
驚いたのは、ギヤチェンジ時のスムースさだ。新型フィットハイブリッドには、ツインクラッチ式の7速ミッションが採用されているが、これほどスムースなツインクラッチ車はほとんど無いと感じるほどだ。まるで、CVTのような滑らかさだ。これが160万円台で売られるクルマなのか? と、思ってしまったほど上質だった。
テストコース内は、基本的に上限80㎞/hに速度を決め、平均して60㎞/hくらいの速度で走った。かなりの勾配があり、タイトなコーナーも多く急激な加減速も多く燃費にキツイ状態だったとはいえ、新型ホンダ フィットハイブリッドの実燃費は23.0㎞/Lとなった。正直、20.0㎞/Lを割るかなぁ、と思っていただけに結果は上々。アップダウンの少なく加減速の激しくない郊外路なら、20㎞/L後半は出るように感じた。
フィットハイブリッドの後に1.3Lのガソリン車を同じコースで同じように走らせたところ、燃費は20.5㎞/Lを記録。ハイブリッドとの差は、わずか2.5km/L! 恐らくこの1.3L車は、JC08モード値で25㎞/Lくらいになるだろう。そう考えると、JC08モード値と実燃費の乖離は、アクアもそうだがフィットハイブリッドもかなり大きい。このあたりは、ハイブリッド車全般にいえる改善点のひとつだ。
フィットハイブリッドとアクア、どっちが燃費が良いのか?
さて、アクアとフィットハイブリッド、どちらが燃費的に優れているかだ。感覚値では、速度が60㎞/hを超えないような道なら、EV モードを多用できるアクアが有利。また、速度が60㎞/hを超えてくる中高速域はフィットハイブリッドが勝るように感じた。
中高速でフィットハイブリッドが有利になると感じた理由は、巡航状態になるとエンジンがほぼ完全にモーターと切り離されるからだ。アクアは、高速域になるとエンジンが常に動いている状態になるが、フィットハイブリッドには、それがない。EV、ハイブリッド 、エンジンと、最も効率のよい3つのモードを上手く使い分けて走ることができるからだ。
さらに効率という点では、約0.9Kwhのリチウムイオン電池を搭載したフィットハイブリッドがニッケル水素電池のアクアに勝る。電池の容量自体は同じ程度だが、電気の出し入れのスピードに勝るリチウムイオン電池なので、より効率的なエネルギー回生ができるようになったブレーキ・バイ・ワイヤ技術である電動サーボブレーキの効果も充分に発揮できる。
電池という視点では、アクアがリチウムイオン電池を使ったら? と、いうことになると、EV走行領域がさらに長くなるので、フィットハイブリッド超の燃費になる可能性もかなり高い。トヨタもアクアのマイナーチェンジで、フィットハイブリッドの36.4㎞/Lを超えると公言している。元々、高価なアクアなのでリチウムイオン電池を使って、さらなる価格アップは、フィットハイブリッドとの価格差がさらに付くことになり、販売面では疑問視されるだろう。そうなると、他の技術でフィットハイブリッド超えを狙ってくるのではないだろうか。
燃費以外で、フィットハイブリッドとアクアを比較評価してみた
新型ホンダ フィットハイブリッド の走りの質はというと、上質なコンパクトカー という印象。フィットハイブリッドは、センタータンクレイアウトという手法で、広大な室内空間を得ることができた。ただ、このセンタータンクレイアウトは、フロア高が高くなり、結果として着座位置なども高くなる傾向になる。厳密に言ってしまえば、スポーツするためのクルマに使う手法ではないともいえるだろう。
そのため、運転席に座ると歴代フィット同様高めのアイポイントとなる。高めのアイポイントは、クルマの周囲が見渡せ運転しやすい。アクアに比べ車高もずいぶん高い。
この重心高の違いは、走りに大きく影響している。アクアはリヤシート下に電池を積むなど、低重心化と重心を車両中央に寄せる工夫がされている。そのため、キレのあるハンドリングが楽しめる。しかし、ただ単にカタイだけのサスペンションなど、乗り味を含めた部分には疑問が残る。
フィットハイブリッドの乗り味は、アクアほど切れ味鋭いハンドリングではないものの、非常に素直なもの。さらに、乗り心地もよく快適だ。静粛性も高く、ひとクラス上の高級車にでも乗っている感じになる。ひとクラス上のセダン などから乗り換えても十分納得できるレベルで、間違いなくダウンサイザーの受け皿になる実力をもっている。
パワー面では、フィットハイブリッドがアクアを上回る印象だ。1,100kg未満の車重に101kWというシステム出力は充分にパワフルだ。とくに、アクアと違うのは変速フィーリング。アクセルを踏むとエンジンの回転が先にウィーンと上がったまま、速度が後から付いてくるフィーリングに対し、デュアルクラッチトランスミッションのフィットハイブリッドは、加速Gとスピードがリニアだ。こちらは好き嫌いの問題でもある。
燃費をほぼイーブンとして、他の部分でアクアとフィットハイブリッド両車を比較評価してみた。アクアは、キレの良いハンドリングをもち、ハイブリッドながらそこそこの静粛性。室内スペースも標準的。フィットハイブリッドは、スポーティではないが素直なハンドリングでパワフル。静粛性も高く、室内は広大。それでいて、フィットハイブリッドはアクアよりも価格は安い。
ざっと機能面で比較したところ、フィットハイブリッドがアクアより優れている箇所は多い。実際に選ぶとしたら、どちらのデザインが好きかということも重要な要素。フィットハイブリッドのデザインは、業界内では賛否両論。アクアは無難なデザイン。さてさて、ホンダ フィットハイブリッドがマーケットに投入されるのは9月上旬。新型ホンダ フィットハイブリッドVSトヨタ アクアの戦いは、どんな結果となるのか楽しみだ。
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