トヨタ は、コンパクト ハイブリッドカー のアクア をマイナーチェンジし発売を開始した。

トヨタ アクアは、2011年12月にデビュー。ガソリン高騰という社会情勢で、当時プリウスを中心にハイブリッド車は大人気。さらに、コンパクトカーでプリウス を超える超低燃費ということもあり、アクアはまさに飛ぶように売れた。

国内販売で、月販1万台を超えれば大ヒットと言われる中で、アクアは2万台以上のセールスをコンスタントに続け、年度末の3月には単月で3万台を超える販売台数を記録する大人気車となった。発売から3年目を迎えても、まったく販売台数が落ちてこないというほどの人気ぶりだ。

そんな大人気のコンパクトハイブリッドカー、トヨタ アクアがマイナーチェンジ。今回のマイナーチェンジでは、燃費向上は行われておらず、37.0㎞/Lのまま。これは、2013年9月にホンダ フィットハイブリッドがデビュー。ここで、フィットハイブリッドがアクアの燃費を超えるが、わずか数か月後の2013年11月にアクアが一部改良を施し、燃費を37.0㎞/Lとして再び世界最高燃費を奪い返しているからだ。そのため、今回のマイナーチェンジも意匠変更が中心の軽めのものとなっている。

エクステリアは、1灯の光源でロービームとハイビームを切り替え可能なBi-Beam（バイビーム） LEDヘッドランプや新意匠のフロントバンパーによって、精悍さをプラスしたスポーティなフロントデザインとなった。リヤに縦基調のリヤコンビネーションランプを採用。ワイド感を強調したほか、ターンシグナルランプ部にメッキ加飾を施し質感を高めている。

また、「G」、「S」グレードには、動きのあるデザインの15インチホイールキャップを新たに採用。ドアミラー、ドアハンドル、バックドアガーニッシュに、高級感あるメッキ加飾を施した「シャイニーデコレーション」をオプション設定している。

外板色は、新色オレンジパールクリスタルシャインとフレッシュグリーンマイカメタリックのほか、シャイニーデコレーション専用色であるチェリーパールクリスタルシャインおよびダークバイオレットマイカメタリックを含む全14色を設定。かなりヴィヴィッドなボディカラーが増えたことにより、コンパクトカーらしい、はつらつ感が上手く表現されている。

インテリアは、センタークラスターやサイドレジスターなどにピアノブラック塗装を施して質感を高めた。「S」のインテリアカラーに先進感を表現したブルーブラックと華やかさを表すブリリアントレッドを新設定。「G」では、シックで上質なディープブラウンの設定など、グレード毎の個性を際立たせている。

内外装の質感アップと同様に、走りの質感も向上された。走りの基本となるボディに手が入れられており、フロントとリヤフェンダーの後部にエアアウトレットを追加し、空力性能を向上。ボディへのスポット溶接の増し打ちによるボディ剛性の向上、サスペンションのチューニングなどにより、世界トップのJC08モード走行燃費37.0km/Lを維持しながら、高い操縦安定性･快適性を確保した。

37.0㎞/Lという燃費値に関しては、かなり限定的。アクアを購入する場合、何らかのオプションを装着することになる。そうすると、ほとんどの場合車重がプラス10㎏となり1090㎏となる。車重が1090㎏の場合、燃費は33.8㎞/Lと大幅に落ちるのだ。多くの顧客は、33.8㎞/Lのアクアに乗ることになる。こうした車重により大幅に変化する燃費ルールを使い、アクアだけでなくフィットハイブリッドや　デミオ も燃費を良く見せようとしているのが現状で、顧客不在の燃費競争となっている。

快適装備系では、「G」にクルーズコントロールを標準装備し利便性を高めている。

　そして、今回アクアのマイナーチェンジで最大のトピックスとなるのが、クロスオーバースタイルの新グレード「アクアX-URBAN（Xアーバン）」を設定されたことだ。

アクアXアーバンは「都会的なセンスのクロスオーバー」として、専用サスペンションを採用。最低地上高を20mmアップし全高を1490mmとしている。通常のアクアの全高より35mm高くなっている。こうした全高のアップは、アクアXアーバンが175/60R16というタイヤサイズとなり、タイヤが大きくなっていることにもよるだろう。

外装関係では、専用のフロントグリルやサイドマッドガード、ルーフモールなどが採用。クロスオーバーらしいアクティブなイメージを体現している。クロスオーバー車ということだが、想像以上にノーマルのアクアのイメージが強い印象。フロント＆リヤバンパーのデザインも大幅に変更し、アンダーガードを装着するなどの大幅な差別化が欲しいと感じる人も多いだろう。ただし、こうしたライトなクロスオーバー車ということもあり、それほど高価ではないのも魅力だ。アクアXアーバンには、外板色11色と専用パーツカラーを組み合わせ、33通りのカラーバリエーションが用意され、自分好みの組み合わせが楽しめる。

アクアXアーバンの内装は、ブラックを基調とし、合成皮革とファブリックを組み合わせた専用のシート表皮やオーナメントパネルを採用。さらに、上質かつ洗練された配色とした「アクセント ： シルバー」とファッショナブルな配色とした「アクセント ： オレンジ」の2色を専用内装色として設定した。

ややライトなクロスオーバー車となった新型アクアXアーバン。マツダが2015年春に、同じコンパクトカーであるデミオをベースとしたクロスオーバー車「CX-3」 を発表したばかり。アクアのライバルは、フィットハイブリッドのように見えていたものの、CX-3対策ともいえるアクアXアーバン を投入しラインアップを強化するなど、トヨタはかなり戦略的だ。

アクアXアーバンの登場で、コンパクトSUVのマーケットはさらに活発になりそうだ。ややボディサイズが大きいのだが、ホンダはヴェゼル、日産はジュークも加わると、コンパクトカー選びは随分多様化した。多様化したことにより、より好みのコンパクトカーが選べるようになったので、今後このクラスは注目と言えるだろう。

■トヨタ アクア/アクアXアーバン（X-URBAN）価格
・L 1,761,382円
・S 1,887,055円
・G 1,953,818円
・Gブラックソフトレザーセレクション 2,036,291円
・X-URBAN 2,046,109円

　トヨタ は、12月上旬にハイブリッド コンパクトカー の「トヨタ プリウス」 をマイナーチェンジし、発売を開始する予定だ。

今回、トヨタ プリウスのマイナーチェンジでは、燃費改善などの変更は行われていないようで、主に内外装の変更がメインとみられている。すでに、アメリカのLAショーで北米向けプリウスC（アクア）のマイナーチェンジバージョンと見られるモデルが公開済み。恐らく、このモデルが基本的に日本でも発売されるマイナーチェンジ後の新型アクア と予想できる。

基本的なスタイルに変更はないようだが、すぐに分かるのはLEDヘッドライトと新たに設計されたテールライト。全体的にキラキラ感が増し、高級感が増しているように見える。

また、フロントバンパーも随分スポーティなデザインとなった。前方にグッと張り出したようなデザインのエアロバンパーになったことで、押し出し感も強くなり精悍さもアップしている。

　そして、驚きなのは、このマイナーチェンジ後の新型トヨタ アクアには、新たなモデルが追加されるという。なんとSUV とのクロスオーバー 車で、車名はアクアXアーバン（X-URBAN） となる予定だ。

この新型トヨタ アクアXアーバン（X-URBAN）は、クロスオーバー車ということもあり、最低地上高を20mmほどアップし160mmとなるとみられている。タイヤも16インチに変更され、全高もアップしているようだ。

ベースのアクアに4WD が無いことから、アクアXアーバン（X-URBAN）はFFのみの設定。最低地上高が160mmなので、そこそこのラフロードでも走行は可能とみられる。アクアXアーバン（X-URBAN）と同程度のボディサイズをもつ同じFFのクロスオーバー車であるフォルクスワーゲン クロスポロ の最低地上高は145㎜となっている。

　そして、気になるのはトヨタ アクアXアーバン（X-URBAN）の価格と燃費。まず、アクアXアーバン（X-URBAN）の価格を予想してみた。一般的にクロスオーバー化すると、付加価値が高くなることもあり価格アップは大きくなり、20～30万円程度価格アップするのが相場といえる。

トヨタ アクアのエントリグレード価格はLが1,748,572円。しかし、Lは装備があまりにも簡素で、いわゆる価格訴求モデルであるため、あまり参考にならない。そうなると、実質のエントリグレードはSの価格1,861,715円ということになるだろう。

このSの約186万円の価格に価格アップの相場分をプラスすると、アクアXアーバン（X-URBAN）の価格は206万円という数値になると予想できる。しかし、206万円という価格は少々きりが悪い。そのため、アクアXアーバン（X-URBAN）の価格は、205万円を切ってくると予想してみた。

次はトヨタ アクアXアーバン（X-URBAN）の燃費予想。アクアの燃費は、かなり無理やりな37.0㎞/L。実際には、ほとんどの顧客が10㎏プラスとなるオプションが装備されるので、車両重量が1,090kg以上になる。その場合の、アクアの燃費は33.8km/Lだ。そのため、アクアXアーバン（X-URBAN）の燃費も33.8㎞/Lをベースに考える必要がある。

10kgの車重アップで、37.0㎞/Lから33.8㎞/Lへ燃費は大きく落ちた。アクアXアーバン（X-URBAN）も車高アップや車重アップすると思われ、燃費ダウンも予想できる。ただ、すでに10㎏アップ分で燃費の落ち幅が大きいため、その範囲内で収まると思われる。仮にさらに落ちたとしても、30.0㎞/L以上は確実だろう。

　新型トヨタ アクアXアーバン（X-URBAN）が12月に投入されることになり、コンパクトSUVマーケットはイッキに話題となることは確実だ。

トヨタ もマツダ も戦略的だ。2010年にデビューした日産ジューク が作り出したコンパクト SUVマーケット。そこに、ハイブリッドのSUV であるホンダ ヴェゼル が投入された。そんな中、マツダがクリーンディーゼル を搭載したCX-3 を公開。その直後に、コンパクトカーマーケットでナンバー1のアクアに、アクアXアーバン（X-URBAN）を追加し発売へと続く。人気のコンパクトカーマーケットに、新たな付加価値を付け販売増を目指している。

さらに、こうしたコンパクトSUVマーケットは国産車だけではない。フォルクスワーゲンのクロスポロ、プジョー2008 、ルノー キャプチャー 、フォード エコスポーツなどなど、輸入車も豊富にラインアップされている。しばらく、このクラスは注目されそうだ。

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