新型ホンダ アコード ハイブリッド新車試乗評価 トヨタのTHS-IIを超えた? ホンダ渾身のスポーツハイブリッドi-MMDの実力を評価する!

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【ホンダ】2013/06/20

 

 

全幅が1,850mmと大きく、北米向きで日本にはベストとはいえないボディサイズをもつアコードハイブリッド

ホンダ アコード ハイブリッド

 ホンダアコードがフルモデルチェンジを受け、新型アコード ハイブリッドとなり、ハイブリッド専用車として2013年6月20日に発表された。これに先立ち、アコード ハイブリッド プロトタイプ車に試乗したので報告しよう。

ホンダ アコードは初代モデルが1977年に発売されており、シビックに次いで長い歴史を持つホンダの基幹車種だ。今回のアコードは9代目に当たり、現在では世界7カ国で生産され、160カ国で販売されている。累計の販売台数は1920万台に達し、国内でも153万台を販売してきた実績を持つ。

ホンダ アコードが特に良く売れているのは北米で、アメリカではカムリやフォーカスなどとベストセラーを争う売れ行きを続けている。そのために、最近のアコードはアメリカ意識したクルマになっていて、従来のアコードも全幅が1850mmに達するなど、必ずしも日本向けとはいえないクルマになっていた。

新型ホンダ アコード ハイブリッド新車情報・購入ガイド 燃費30km/L! ついにトヨタを超えたホンダ渾身のスポーツ ハイブリッドi-MMDを評価する!

ホンダ アコード ハイブリッド
ホンダ アコード ハイブリッド
ホンダ アコード ハイブリッド

 

ホイールベースが長くなったことで、後席の居住性が一段とアップ

ホンダ アコード ハイブリッド

 今回のフルモデルチェンジでは、全幅を従来のモデル並みに抑えるとともに、ハイブリッド専用車とするなど、日本市場向けの配慮もした上で改めて売り出してきた。全長とホイールベースはさらに延長されたが、これによって後席の居住空間が大きく拡大されている。

新型アコード ハイブリッドの外観デザインは、見るからにオーソドックス印象の3BOXセダンで、延長されたホイールベースと全長のほか、ボディサイドを流れる明快なキャラクターラインなどによって伸び伸びしたデザインとされている。デザイナーが自由に腕を振るえるボディサイズである。

ボディを真上から見ると中央が樽状に膨らんだバレルシェイプを採用し、ボディ前後の絞り込むことで、空力特性を高めている。

広めの全幅やバレルシェイプによって室内はショルダールームの余裕のある空間が作られている。また後席をV字型に配置することで、後席の乗員にも開けた視界を確保したの特徴だ。それ以上に大きいのはホイールベースの延長による後席空間の拡大で、乗り降りのしやすさに加えて大人がゆったりと座れるだけ広さがある。

木目調パネルやメッキモールを採用することで、インテリア回りの上質さもまずまずのレベル。上級グレードのEXには本革巻き&木目調コンビステアリングホイールが採用されていた。

ホンダ アコード ハイブリッド
ホンダ アコード ハイブリッド
ホンダ アコード ハイブリッド

 

ホンダ アコード ハイブリッド

 

 

 

 

 

EV走行がより強調されたスポーツ ハイブリッド(SPORT HYBRID) i-MMD

ホンダ アコード ハイブリッド

 新型ホンダ アコード ハイブリッドに搭載されるエンジンは、新開発の直列4気筒2.0リッターのLFA型で、アトキンソンサイクルを採用したDOHC i-VTECエンジン。105kW/165N・mの動力性能を効率良く発生する。モーターも新開発のMF8型で、124kW/307N・mの高性能を発揮する。システムとして発生できる動力性能は146kWになるという。CVTとの組み合わせで滑らかな走りを実現する。

EVモード、ハイブリッドモード、エンジンモードといった形で走行条件に応じて自在な走りを実現するのが特徴で、これによって上級セダンとしては圧倒的な30.0km/Lの低燃費を実現している。

ハイブリッド用の電池はリチウムイオン電池で、搭載量は1.3kW/hだからプリウス並みだが、リチウムイオン電池は電気の出し入れをする能力に優れるのが特徴で、スペース効率的にも有利になる。

新型アコード ハイブリッドの運転席に乗り込み、シフトレバーをDレンジに入れて走り出すと、発進時には自動的にEVモードが選択されて走り出す。とても静かで滑らかにクルマが動き出していく感じは、正にEV感覚のものだ。

走り出した後は、アクセルの踏み込み量、車速、電池の残量、エアコンの作動など、いろいろな状況を加味して自動的にエンジンが始動してハイブリッドモードでの走行に切り替わる。

低速域では、EVモードを中心にガソリンを使わない走りを心がけながら、必要に応じて上手にハイブリッドモードを使っている感じの走りである。

EVモードからハイブリッドモードへの切り替えなどは運転していても全く分からないような感じである。ディスプレーに表示されるエネルギーフローの画面を見ているから、切り替わるのが分かるだけだ。

EVモードで走ったり、エンジンがかかったり、あるいはエネルギーの回生をしたりしているのが、とてもきめ細かく行われているのが良く分かるが、エンジンのオン/オフなどはほとんど振動やショックなしに切り換わっているので、ドライバーは余分なことを意識しないで走れば自然に燃費の良い走りができる。

高速道路の合流車線での加速を想定してアクセルを踏み込んだときは、ハイブリッドモードで加速する。電気モーターの高トルクが瞬時に立ち上がるので、力強い加速が素早く得られる。このときに感じるモーターの性能の高さが新型アコードハイブリッドのひとつの特徴である。

時速が80kmくらいに達すると、エンジンモードに切り替わってエンジンの駆動力だけで走るようになる。高速クルージングは通常のガソリン車と同じように基本的にエンジンだけで走る仕組みだ。

エンジンモードで走っているときは、車速が高い分だけロードノイズや風切り音などが入るので、エンジン音はそれらに隠れてほとんど気にならない。むしろロードノイズや風切り音も含めてとても静粛性の高いクルマといっていい。今回は路面状態の良い限られたシチュエーションでの走りだけだったので、発売後にはいろいろな路面のある一般道で走って改めて評価したいが、基本的にはとても静かなクルマである。

高速クルージング中もエンジンモードで走るだけでなく、走行条件によってはEVモードに切り替わる。MMDとい言葉が示すように自由自在な走りが可能なのだ。このi-MMDはとても賢いハイブリッドシステムであるといっていい。プリウスもアコードと同じようなというか、状況によってはさらに複雑な制御をしているが、アコードのi-MMDも2モーターのハイブリッドであることを生かして高度な制御を行っている。

アクセルペダルから足を離すと、エネルギーの回生が始まり、ブレーキを踏んで減速していくとさらに回生を強めていく。電気の出し入れが得意なリチウムイオン電池なので、効率の良い回生ができる。

ブレーキは電動サーボブレーキという高級なシステムを採用している。フィットEVに採用したのと同じシステムでエンジンがかかっていない状態でも安定したブレーキ力を確保できる。このブレーキのフィールもとても自然で好感の持てるものだった。

ホンダ アコード ハイブリッド
ホンダ アコード ハイブリッド
ホンダ アコード ハイブリッド

 

 

今時300万円を超えるようなクルマがに追突軽減ブレーキがオプションなのは物足りない

ホンダ アコード ハイブリッド

ホンダ アコード プラグインハイブリッド(PHV)パワーユニット。パワーユニットは、ハイブリッドと基本的に大きな変更はない

 新型ホンダ アコードハイブリッドの価格は、ベースとなるLXが365万円で、EXが390万円とされている。上級グレードのEXには、完全停止するなど進化した追突軽減ブレーキと全車速対応型のアダプティブクルーズコントロールが標準装備されるのが大きな相違点。今どきの上級セダンなら、追突軽減ブレーキは標準装備にするのが当然ではないか。これで、グレード間の違いを設けるのは疑問だ。

新型アコードハイブリッドの価格をライバル車となるカムリハイブリッドと比較すると、アメリカで販売競争を繰り広げ、国内向けはハイブリッド専用車になったカムリの価格は、302万円から382万円に設定されている。単純な比較では、新型アコードハイブリッドのほうがずっと高い。

カムリハイブリッドは、最上級グレード以外はカーナビがオプション設定になっているのが価格差の理由の大きな要素。中間グレードである“Gパッケージ”の322万円にカーナビを装着すると355万円ほどになる。パワーシートを始めとするほかの装備の有り無しを含めると、アコードLXとの実質的な価格差は縮小する。

さらに、新型アコードハイブリッドは燃費が良い。カムリハイブリッドの燃費は23.4km/Lにとどまるのに、アコードは30.0km/Lも走るから、この差はけっこう大きい。距離を走る人だと互角かアコードほうが有利になるといった印象だ。

なお、新型アコードハイブリッドには一般ユーザー向けに広く販売するハイブリッドのほかに、プラグインハイブリッド(PHV)も用意されている。こちらは官公庁や法人ユーザー向けのリースなど、限定的に販売される予定になるという。

基本は、新型アコードハイブリッドと共通のi-MMDだが、プラグインハイブリッド(PHV)は、リチウムイオン電池の搭載量を増やして6.7kW/hとし、この電池に外部から電気の供給を受けることでEVモードでの走行距離を37.6kmとした。プラグインハイブリッド車(PHV)としての走行モードを基準にすると、燃費は70.4km/Lになり、電力消費率は9.26km/kWhという性能を持つ。ただ、新型アコード ハイブリッドで小さかったトランクが、バッテリーがさらに大きくなった分、さらにトランクの容量が小さくなっている。

ホンダ アコード ハイブリッド

ホンダ アコード プラグインハイブリッド(PHV)スタイル

ホンダ アコード ハイブリッド

ホンダ アコード プラグインハイブリッド(PHV)。ハイブリッドより、電池の容量が増えたことで、さらにトランクが小さくなている

ホンダ アコード ハイブリッド

ホンダ アコード プラグインハイブリッド(PHV)充電口

 

 

 

 

新型ホンダ アコードハイブリッド/アコード プラグインハイブリッド(PHV)価格、燃費、スペック等

ホンダ アコード プラグインハイブリッド(PHV)

ホンダ アコード プラグインハイブリッド(PHV)とハイブリッドの違いは、主にこの充電口があるかないかくらいだ

■ホンダ アコードハイブリッド価格
・LX 3,650,000円
・EX 3,900,000円
<燃費:30.0km/L>
■ホンダ アコード プラグインハイブリッド(PHV)
・5,000,000円
<燃費:70.4km/L>

定員[人]5人

代表グレード ホンダ アコードハイブリッドEX
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,915×1,850×1,465mm
車両重量[kg] 1,630kg
総排気量[cc] 1,993cc
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] 143(105)/6,200rpm
エンジン最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 16.8(165)/3,500〜6,000rpm
モーター最高出力[ps(kw)] 169ps(124kw)
モーター最大トルク[kg-m(N・m)] 31.3kg-m(307N・m)
システム全体[ps(kw)] 199ps(146KW)
JC08燃料消費率[km/l] 30.0km/l
バッテリー 種類/容量(Ah) リチウムイオン/5.0
価格 3,900,000円
写真/レポート 編集部/松下 宏

 

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