コンパクトミニバン のトヨタシエンタ  が好調な売れ行きを続けている。新車販売台数ランキングでも、ほぼ5位以内に位置し高い人気を長期間に渡り維持している。売れている理由は、扱いやすい小さなクルマ、3列シート、スライドドア、ハイブリッド など、今どきの売れるクルマの要素をいろいろと兼ね備えているからだ。特にハイブリッド車の売れ行きが好調で、高い販売比率を占めているという。

これまでのシエンタは、カローラ店だけで販売していたが、今回のモデルはトヨタの全ディーラーで販売するようになった。従来のモデルに比べて、大きく販売を伸ばすのは当然でもある。シエンタはアクア に次ぐ販売実績を残しており、トヨタの国内での主力モデルとして一気に浮上してきた。

シエンタの価値は、全長が4235mmというコンパクトなボディの中にしっかり座れる3列シートを成立させている点にある。低床のフラットフロアをベースに、パッケージング効率をしっかり煮詰めることで、3列目のシートにも何とか大人が座れる空間を確保した。3列目シートを子供用として諦めていないのが良い点だ。

しかも、その3列目シートは左右50：50で分割してダイブダウンさせると、2列目シートの下に潜り込む形になり、ふだんはフラットなラゲッジスペースとして使い、いざというときに3列目シートを使って多人数乗車を実現する。そんな便利な使い方が可能である。

シエンタでは、日常的に3列目シートを使う人は少なく、ラゲッジスペースとして使う人が多いので、3列目シートを荷室空間をスポイルするはね上げ式などにしなかった。これも、徹底して使いやすさにこだわり、パッケージングを煮詰めたからだできた機能だ。

　トヨタ シエンタの外観デザインは、かなり特徴的だ。歌舞伎の隈取りを連想させるデザインを最初に見たときには、強いインパクトにどきっとした。クルマのデザインは、ほかのどのクルマにも似ていないことが重要である。“隈取り”に相当する部分がボディカラーと異なる設定になるなど、新しいアイデアを盛り込んだデザインである。ちなみにこのデザインイメージは、私が連想した歌舞伎の隈取りではなく、トレッキングシューズから得たものだという。

私のような高齢者にとって、ちょっとどぎつい感じだなと思ったシエンタのデザインだが、若いユーザーからは好感を持って迎えられている。個性が評価されているのだ。また最近は、デザインの賞味期限がどんどん短縮されている。そのため、デビュー時にそこそこカッコよいと思っても、1年も経過すると古臭く見えてくるクルマも少なくない。シエンタは、最初にどぎついと思ったデザインでも、このクルマが街中を走り回るようになると、すぐに見慣れたものになっていく。

シエンタのインテリアは、コンパクトクラスのクルマらしいシンプルなデザインである。左右の広がりを演出するとともに、奥行きのある立体的な造形を採用ことで新鮮印象を与えている。ステアリングホイールの中から見るのではなく、その上から見るタイプのメーターパネルはワイドなデザインで個性的なものである。さらにいえば、操作性や機能性に優れるのは、トヨタ車のインテリアデザインに共通する長所である。

■トヨタ シエンタ（SIENTA)価格
●1.5Lガソリン車
・X“Vパッケージ” ７人乗り　2WD　1,689,709円/６人乗り　4WD　1,831,091円
・X ７人乗り　2WD　1,816,363円/６人乗り　4WD　1,957,745円
・G ６人乗り/７人乗り　2WD　1,980,327円/６人乗り　4WD　2,121,709円

●1.5Lハイブリッド車
・X ７人乗り　2WD　2,226,763円
・G ６人乗り/7人乗り　2WD　2,329,855円

定員［人］7人