アメリカンなボディサイズ、日本向けにはもう少し小さはボディが欲しかった・・・。
ホンダ アコードがフルモデルチェンジを受け、ハイブリッド専用車に変身して登場した。それもホンダのスポーツハイブリッドi-MMDを搭載することで、JC08モードで30.0km/Lの低燃費を実現しての登場だ。
この数値、相当にというか、とてつもなく凄い数値だ。直接的なライバル車であるカムリの燃費が23.4km/Lだから、圧倒的な大差を付けている。これまでは、ハイブリッド技術でトヨタの後塵を拝してきたホンダだが、ここにきて一気に巻き返しが図られた。
まずは、新型ホンダ アコードの位置づけから入ろう。ホンダ アコードは、従来から日本向けとアメリカ向けとで異なるボディを採用していた。ひと世代前のモデルでは、アメリカや中国向けが大きめのアコードで、ヨーロッパと日本向けはやや小さめのアコードだった。
小さめといっても、日本向けのアコードも全幅が1800mmを超えていたから、十分に大きなアコードだったのだが、アメリカ向けに比べたらやや小さかった。そしてアメリカ向けのアコードは、日本ではインスパイアとして販売されていた。
今回のモデルでは、世界中のアコードがひとつになり、アメリカ向けのアコードのボディを採用したモデルに集約された。実質的には、インスパイアのフルモデルチェンジが今回のアコードなのだが、日本ではインスパイアよりもアコードの名前が選択され、インスパイアは廃止されたわけだ。
そんなこともあって、今回のホンダ アコードハイブリッドは相当に大きい。特に全長が長くなって5mに近くなったので、駐車場事情などで影響を受ける人がいるかも知れない。日本向けにはもう少し小さなボディのアコードが欲しいところだ。
ボディが大きくなったことは、後席の居住空間の拡大につながり、足元空間は広々とした感じになっている。また後席のシートレイアウトを工夫することで、後席からも前方視界の開けた快適な空間が作られている。
インパネ回りのデザインは、高級感にあふれたもので、質感、視認性、操作性などもまずまずのレベル。強いて言えば、オーディオのボリュームスイッチが左側にあることがわずかな難点か。
まったく新しい新型アコードのハイブリッドシステムを評価する。脅威の低燃費30.0㎞/L!
新型ホンダ アコードハイブリッドのハイブリッドシステムは、直列4気筒2.0Lエンジンに駆動用と発電用のモーターを組み合わせた2モータータイプ。これまでのホンダのハイブリッドは1モーターのIMAだったから、全く異なる新システムだ。
エンジンは、アトキンソンサイクルという効率重視の燃焼方式を採用したもので、105kW/165N・mの動力性能は特にパワフルといった感じではない。でも、組み合わされるモーターが注目モノで、124kW/307N・mの動力性能を発揮する。
エンジンでいえば、パワーは2.5L並み、トルクに至っては3.0L並みの実力だから、これは相当なもの。システムとして出力できるパワーは146kWになるが、それでも十分な実力である。
アコードハイブリッドの電池の容量は、リチウムイオンで1.3kW/h搭載している。ハイブリッド車としては平均的な容量だが、ニッケル水素電池ではなく電気の出し入れ性能に優れたリチウムイオン電池であることが注目点だ。
また、ハイブリッド車はエンジンが停止している状態があるので、ブレーキにエンジンの負圧を使うことができない。なので、電動式のブレーキサーボを使っているのもアコードの特徴だ。
これらを組み合わせた新しいハイブリッドシステムによって、1600kgを超えるアコードのボディで30.0km/Lという驚異的な低燃費が達成されたのだ。
脅威のスムースさをもつアコードハイブリッド。電動ブレーキの仕上がりも絶妙!
新型ホンダ アコードハイブリッドの走り出しは、モーターだけのEV(電気自動車)モードが使われる。かすかにモーター音が聞こえるものの、静かで滑らかな走りだ。十分な電力量の電池を搭載しているので、時速70kmくらいまで、また3kmくらいの距離をモーターだけで走ることが可能という。
電池の容量が減ったり、あるいはアクセルを踏み込んだりすると、エンジンが始動してHV(ハイブリッド)モードになる。モーターとエンジンの足し算で走るので、とても力強い加速感が得られる。
エンジンがかかるときには、多少の振動や騒音があるものの、これも良く抑えられていて、インパネ内に表示されるエネルギーフローメーターを見ていないと分からないくらいのスムーズさだ。
アコードハイブリッドは、高速クルージングに入ると、エンジンモードでの走行になる。高速を一定の速度で走るようなシーンでは、エンジンで走った方が効率が良いからだ。
ただ、高速クルージング中でも状況に応じてEVモードに入ったり、HVモードに入ったりする。これらのモードを自在に使い分けて走るのがi-MMD(インテリジェント・マルチ・モード・ドライブ)の本領が発揮されるところである。
ドライバーは、こうした切り替えを意識することなく、アクセルワークによって命令するだけで、クルマが常に最適な走行モードを自動的に選択してくれる。
アクセルペダルから足を離せば、すぐにエネルギーの回生が始まる。リチウムイオン電池なのですぐに電池が充電されていく。このときのエンジンブレーキの感覚がやや弱いようにも感じられたが、これは好みによる部分でもある。
ブレーキペダルを踏めば回生量が増えるが、電動サーボを使ったブレーキのフィールもとても良い。通常の油圧式のブレーキと変わらないような感覚で踏めるのだ。踏んだときのしっかり感や、踏み続けたときの安定感、あるいは踏み始めた当初の食いつきの良さなども含め、とても好ましいブレーキフィールだった。
選ぶなら、上級グレードのアコードハイブリッドEXがオススメだ!
新型ホンダ アコードハイブリッドの価格は、ベースグレードのLXが365万円で、衝突軽減ブレーキ(自動ブレーキ)やアダプティブクルーズコントロールなどを装備した上級グレードのEXが390万円という設定だ。今どきのクルマとしては、自動ブレーキは必須の装備ともいえるから、これは上級グレードのEXを選ぶべきだ。
アコードハイブリッドの390万円という価格は、決して安くはないが、インターナビを標準装備するなど、充実した快適装備を備えることを考えたら、納得モノの価格といえるだろう。
当然ながら、購入時にはエコカー減税で自動車取得税や自動車重量税が免税扱いになり、これに燃費の良さによる維持費の安さが加わるから、総合的に考えたらまずまずリーズナブルな設定になる。
新型ホンダ アコードハイブリッド/アコード プラグインハイブリッド(PHV)価格、燃費、スペック等
■ホンダ アコードハイブリッド価格
・LX 3,650,000円
・EX 3,900,000円
<燃費:30.0km/L>
■ホンダ アコード プラグインハイブリッド(PHV)
・5,000,000円
<燃費:70.4km/L>
定員[人]5人
代表グレード | ホンダ アコードハイブリッドEX |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,915×1,850×1,465mm |
車両重量[kg] | 1,630kg |
総排気量[cc] | 1,993cc |
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] | 143(105)/6,200rpm |
エンジン最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 16.8(165)/3,500〜6,000rpm |
モーター最高出力[ps(kw)] | 169ps(124kw) |
モーター最大トルク[kg-m(N・m)] | 31.3kg-m(307N・m) |
システム全体[ps(kw)] | 199ps(146KW) |
JC08燃料消費率[km/l] | 30.0km/l |
バッテリー 種類/容量(Ah) | リチウムイオン/5.0 |
価格 | 3,900,000円 |
写真/レポート | 編集部/松下 宏 |
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