10系トヨタ アクアXアーバン(AQUA X-URBAN)試乗記・評価 想像以上に上質な乗り心地と操縦安定性をもったクロスオーバー車

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【トヨタ】2015/07/27

 

■日本で一番売れているクルマがアクアがマイナーチェンジし、クロスオーバー車アーバンXが追加された

トヨタ アクアXアーバン(AQUA X-URBAN)

10系トヨタアクア は、国内販売台数で首位を争うクルマだ。争う相手は、ホンダN-BOXダイハツタント といった軽自動車 ばかりだから、登録車だけで考えたら実質的な発売年である2012年はプリウス に後れをとっものの、その後は販売台数ナンバー1を続けるのがアクアだ。

最も低価格で買える本格的なハイブリッド車 ということで良く売れているアクア。しかし、デビュー直後のアクアの走行フィーリングは、それほど良いものではなかった。ヴィッツ系 のプラットホームを使っていることもあり、振動・騒音や乗り心地など、走りの質感がもうひとつという印象だったからだ。

ハイブリッド用の大きく重い電池をリヤシート下に設置するなどしたことで、前後の重量配分や重心高のバランスが良くなっているのなど、基本なパッケージングは優れていただけに、妙にゴツゴツとしたサスペンションの動きがシブイような乗り味は、アクアのイメージを悪くしていた。

ユーザーからもそうした指摘を受けたとみえて、トヨタはマイナーチェンジで乗り心地の向上を含め大幅に改善してきた。さらに、選択肢の幅を広げるために、流行のSUV に似せたクロスオーバー車「Xアーバン」 と呼ばれる新モデルを設定してきた。今回は、このアクアXアーバンの試乗である。

コンパクト なSUV感覚のモデルは、世界的に高い人気を集めている。クラスは少し違うが、日産ジューク が日本やヨーロッパで大ヒットし、ジュークと前後してフォルクスワーゲンクロスポロルノーキャプチャープジョー2008 、フォード エコスポーツなど、さまざまなモデルが発売されて人気を集めている。これらのモデルは必ずしも4WD であることを求められておらず、今回のアクアのXアーバンもFF車だけの設定である。

トヨタ アクアXアーバン(AQUA X-URBAN)
トヨタ アクアXアーバン(AQUA X-URBAN)
トヨタ アクアXアーバン(AQUA X-URBAN)
トヨタ アクアXアーバン(AQUA X-URBAN)

■もう少し明確に差別化されたしてほしい外観。走行性能は、マイナーチェンジの改良が効いていて、驚くほどしっかり感があり快適な乗り心地になった

トヨタ アクアXアーバン(AQUA X-URBAN)

 アクアXアーバンの外観デザインは、やや控えめながら標準車とはそれなりに差別化されている。専用色のグリルや前後のバンパースポイラー、サイドマッドガード、ルーフモールなどよってSUV感覚に仕上げている。内装にも専用のシート表皮を採用するなど、多少の違いが設けられた。

アクアXアーバンは、車両本体価格が200万円を超えるアクアの最上級グレードなのだから、もう少し明確な差別化をしても良いかと思うが、価格設定にも影響する話なので、このあたりはやや微妙である。

実際に走らせた印象は案外良かった。走りの質感に物足りなさがあったアクアに、最低地上高を高めたSUV感覚のアーバンXということになると、どんな走りをするのだろうかと、乗る前には懸念の気持ちが強かった。だが、試乗した印象は、意外に良くできてるじゃないの、そんな感じだった。

アクアより最低地上高が20mm高くなったことは、操縦安定性に影響しているはずだが、マイナーチェンジでボディ剛性の強化や足回りに手が加えられている上に、Xアーバン専用のチューニングを施すことで、安定感のある走りを確保している。

アクアXアーバンの走りに対する高感度のうち、多くの部分はマイナーチェンジによる改良だ。16インチタイヤの装着による標準との走りの違いは、ともすればタイヤが大きくなった分だけストローク量が減って乗り心地が悪くなるなんてことになりかねないが、アクアではそんな悪い結果にはなっていない。むしろ従来あった走りに対する不満はほとんど解消されたと言っていい。

トヨタ アクアXアーバン(AQUA X-URBAN)
トヨタ アクアXアーバン(AQUA X-URBAN)
トヨタ アクアXアーバン(AQUA X-URBAN)

 

 

 

■小回りが苦手なコンパクトカー! 全長4mで16インチアルミホイールを選ぶと、最小回転半径が5.4mでは・・・。

トヨタ アクアXアーバン(AQUA X-URBAN)

 ただ、良いことばかりではないのがアクアXアーバンだ。タイヤが16インチになったことが影響して、最小回転半径が4.8mから5.4mへとグンと大きくなってしまった。最近のトヨタのFF車に多く見られる例だが、タイヤによる最小回転半径の変化の大きさは何とかできないものか。5.4mは何とか許容して良い数値だが、それでも標準並みの数値なら、取り回しはさらに楽になる。

アクアXアーバンは、標準車に対して10kgしか車両重量が増加していないのに、JC08モード燃費は37.0km/Lから33.8km/Lへと悪化している。これも物足りない点だ。ただ、燃費については37.0km/Lという数値のほうが半分インチキであり、従来から何かしらオプションを装着すると、すぐに重量が増えて33.8km/Lになっていた。この33.8km/Lの数値のほうが、アクアの燃費の実力値である。それが正直にカタログに出るようになっただけのことだ。

前述したように、アクアはとても良く売れているクルマである。なので、ほかのユーザーと同じクルマではつまらないと考えるユーザーも多いだろう。ほかの人と少し違ったアクアが欲しいと考えるユーザーにとって、Xアーバンは有力な選択肢になると思う。

トヨタ アクアXアーバン(AQUA X-URBAN)
トヨタ アクアXアーバン(AQUA X-URBAN)
トヨタ アクアXアーバン(AQUA X-URBAN)

■10系トヨタ アクア/アクアXアーバン(X-URBAN)価格

■10系トヨタ アクア/アクアXアーバン(X-URBAN)価格
・L 1,761,382円
・S 1,887,055円
・G 1,953,818円
・Gブラックソフトレザーセレクション 2,036,291円
・X-URBAN 2,046,109円

■10系トヨタ アクアXアーバン燃費、スペックなど

定員[人]5人

代表グレード トヨタ アクアXアーバン
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,030×1,695×1,490mm
車両重量[kg] 1,090kg
総排気量[cc] 1,496cc
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] 74(54)/4,800rpm
エンジン最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 11.3(111)/3,600〜4,400rpm
モーター最高出力[ps(kw)] 61ps(45kw)
モーター最大トルク[kg-m(N・m)] 17.2kg-m(169N・m)
システム全体[ps(kw)] 100ps(73KW)
ミッション 電気式無段変速機
最小回転半径[m] 5.4m
バッテリー 種類/容量(Ah) ニッケル水素/6.5
価格 2,046,109円
レポート 松下 宏

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