約3000点もの部品を新設計。気合たっぷりのマイナーチェンジ
今回のマイナーチェンジは、約3000点にも及ぶ部品を新設計とした力の入ったものだ。また、主戦場となるアメリカでは、多くのセレブを集めパーティ形式のワールドプレミアを行うなど、マイナーチェンジにかかわらずプロモーションにも多額のコストを投入している。
この新型レクサスLSのベースモデルは、2006年にデビュー。すでに6年が経過している。国内のこういった高級車は、法人需要がほとんどで、定期的に買い替えが進む。5年もしくは6年という買い替えサイクルが一般的と言われている。つまり、2006年デビュー直後に購入された多くのレクサスLSの保有が買い替え時期に来ているのだ。
営業上、問題になるのが、その時に新型になっていないという現実だ。顧客側にしてみれば「また、同じ型のレクサスLSを勧めるの?」といったことになり、他社への買い替え動機につながるからだ。また、レクサスLSのような高級車は、多額の開発コストがかかる。すでに、マイナーチェンジを終えたレクサスGSも、すでに8年目に突入し、ISも同様だ。苦戦が続くレクサスブランドにとって、そう簡単にモデルチェンジはできないのが実情だろう。
そのため、スピンドルグリルなどを投入して、見た目の印象を大きく変化させるなどの手法で、新しくなったような印象を与え、フルモデルチェンジまでの間、耐えなくてはならない。ただし、LSのようなフラッグシップモデルは、レクサスブランドの柱でもある。そのため、GSやISのようなマイナーチェンジではなく、約3000点もの部品を新設計させ、メルセデス・ベンツSクラスやBMW7シリーズなどと勝負できるように細部に渡り磨き上げられた。
エクステリアとインテリアのデザインは激変! より個性的でスタイリッシュなスピンドルグリルを採用
リヤビューには、シームレスに発光するアローヘッドと呼ばれる形状のクリアランスランプ、L字型テールランプなど、次世代LEXUS共通のデザインテーマを採用した。
ランプ類は世界最小径のLEDフォグランプをはじめ、外装の灯火類すべてLEDを採用。LEDランプならではの造形と光で華やかさを演出するとともに、省電力化による燃費性能向上にも寄与している。クルマで使う省電力化は、オルタネーターの発電量と直結し、当然、大きな発電量をもつオルタネーターほど、走行時に抵抗になり燃費を悪化させる。欧州勢の多くは、減速エネルギー回生システムを採用し、低燃費化を図るが、新型レクサスLSに減速エネルギー回生システムは装着されていない。
とにかく、見た目の新鮮さを追求するために、インテリアは、インパネを一新。エクステリアが変化しても、インテリアが一緒では顧客も納得しないからだ。インパネデザインは、水平基調とし、LS本来の品格とモダンなテイストが共存するデザインとした。
運転席周辺をディスプレイゾーンとオペレーションゾーンを分離した構成とし、12.3インチワイドディスプレイやリモートタッチを採用するなど、操作性を向上させている。これだけ大きいディスプレイだと、とても見やすく分かりやすいので、安全運転という点でも評価できる。また、匠の手技によって薄い板材を重ね合わせ、独自の模様を表現した縞杢(しまもく)ステアリングを新設定。落ち着いた空間の中に、ちょっとアートを感じさせるインテリアに仕上がった。
自分だけのクルマにしたい。と、望む多くの顧客のためにシート、インストルメントパネル、天井、カーペットなど、様々な部位の素材・カラーを好みに応じて組み合わせ、幅広いコーディネートが楽しめる内装カスタマイズプログラム「L-Select」をオプション設定した。選びやすさにも配慮し、「Passionate Spirit」や「Japanese Modern」など、個性的な6つのテーマを新たに設定。自分だけの新型レクサスLSに仕上げることが可能となった。
補強された強固なボディを生かすエアサス、そしてスポーツグレードのF SPORTを追加
そして、もうおなじみになったスポーツグレードである「F SPORT」が新設定。専用内外装デザインのほか、専用チューニングを施したトランスミッション・サスペンションや、ブレンボ社製高性能ブレーキ、19インチ鍛造アルミホイールなどにより、LEXUS独自の“F”の走りのテイストを存分に味わえる仕様としている。LS 600h“F SPORT”にはアクティブスタビライザーを、LS460“F SPORT”にはトルセンLSDを採用。意のままにクルマを走らせる楽しみを広げるため、ドライブモードセレクトを採用。ドライバーの嗜好や様々なシーンに応じて、5つのモードが選択可能とした。F SPORTの狙いはメルセデス・ベンツのAMGや、BMWのMのような存在なのだろうが、専用エンジンやボディなどまで踏み込んだ作りこみには及んでいない。
ガソリン車は、軽自動車でさえ装着され始めたアイドリングストップ機能が未装着。環境性能の向上を望む
また、ハイビーム照射時に、先行車のテールランプや対向車のヘッドランプをカメラで検知し、その部分を自動的に遮光して対向車の眩惑を防ぐアダプティブハイビームシステム(AHS)を新採用。ハイビームでの走行頻度を増やすことで夜間の視認性向上に寄与する。
さらに、走行中、ドアミラーで確認しにくい後側方を走行する車両をミリ波レーダーで検知し、ドライバーに注意喚起することで、車線変更時の安全運転を支援するブラインドスポットモニター(BSM)を採用した。
スピンドルグリルやLEDライトなどで、よりスタイリッシュになった新型レクサスLS。インテリアも自分好みに仕上げられたり、高い安全装備など、顧客の満足度は高い。しかし、ガソリン車には相変わらずアイドリングストップ機能が装備されていないなど、環境性能に関しては未だ足りない部分もある。今では、ワゴンRなどの軽自動車までもアイドリングストップ機能を装着し、低燃費化を進めている。0.66Lの軽自動車がアイドリングストップで、ちょっとでもガソリンを節約している。軽自動車車に対し約7倍もの排気量をもつ新型レクサスLSに、なるべく早い段階でのアイドリングストップ機能の装着を望みたい。ハイブリッド車で環境性能を全面に出すトヨタ製であり、社会性が求められるフラッグシップモデルである以上、尚更だろう。
レクサスLS 価格 燃費 スペックなど
・LS460
ベース車 8,300,000円 AWD 8,800,000円
version L 10,300,000円 AWD 10,800,000円
F SPORT 9,800,000円
version C・I package 8,950,000円 AWD 9,450,000円
version C 8,700,000円 AWD 9,200,000円
・LS460L
ベース車 5人 2WD(FR) 11,300,000円 AWD 11,800,000円
EXECUTIVE package 5人 12,600,000円 AWD 13,100,000円
4人 12,600,000円 AWD 13,100,000円
<新型レクサスLS600h/ LS600hL価格>
・LS600h
ベース車 10,500,000円
version L 5人 AWD 12,500,000円
F SPOR” AWD 12,300,000円
version C・I package AWD 11,150,000円
version C AWD 10,900,000円
・LS600hL
ベース車 5人 AWD 13,700,000円
EXECUTIVE package 5人 AWD 15,500,000円
4人 AWD 15,500,000円
代表グレード | レクサスLS600h F SPORT |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 5,090×1,875×1,465mm |
ホイールベース[mm] | 2,970mm |
トレッド前/後[mm] | 1,610/1,610mm |
車両重量[kg] | 2,175kg |
総排気量[cc] | 4,968cc |
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] | 290(394)/6,400 |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] | 520(53.0)/4,000 |
モーター | 最高出力165kW(224ps)最大トルク300Nm(30.6kg-m) |
ミッション | 電気式無段変速機CVT |
タイヤサイズ | 245/45R19 |
JC08モード燃費 | 11.6km/L |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 12,300,000円 |
発売日 | 2012/10/11 |
レポート | 編集部 |
写真 | 編集部 |
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