■改良を加えながら航続距離を徐々に伸ばし続けた初代日産リーフの歴史
日産は電気自動車(EV)のリーフをフルモデルチェンジし発売を開始した。新型日産リーフは、これで2代目となる。
初代日産リーフは、2010年に登場した。初代リーフには109ps&280Nmという出力をもち、24kWhのリチウムイオン電池を搭載。200㎞という航続距離を実現した。
初代リーフは、日産の英知を結集した電気自動車(EV)。しかし、時代はハイブリッド車全盛ともいえる時代だった。また、EVの欠点は航続距離が短く、充電スポットが少ないこと。そこで、日産はまず充電スポットの拡充に力を入れた。デビュー当時こそ、日産ディーラーを中心とした一部に限られた充電スポットだったが、日々充電スポットは増えていく。とくに、旅先で重要な急速充電器数は、2017年3月時点で7,108基となった。2010年時と比較すると、なんと約20倍となっている。急速充電器がある高速道路のSA/PAは約40%以上になった。これは、ガソリンスタンドがあるSA/PAが約25%なので、高速道路上ではガソリンスタンドより急速充電器の方が多いという状況になった。また、一般道ではコンビニやショッピングセンターなどにも設置されている。こうした充電器を探すのもナビ操作ですぐに検索できる。充電に対する不安は、ほぼ解消されたといえる。
充電面で、唯一悩みの種となっているのは充電時間。充電時間が長いのがEVの難点で、これは今も解消されていない。
そして、初代リーフの歴史は航続距離アップの歴史でもある。デビュー時は200㎞だった航続距離は、2012年に228㎞へ向上させた。そして、2015年には30kWhのリチウムイオン電池を搭載し280㎞を達成している。
こうした航続距離のアップは評価できるのだが、ガソリン車やハイブリッド車に乗りEVに乗ったことのない顧客から見ると、まだまだ航続距離が足りないと感じるのは当然のことだろう。
■2代目新型リーフには、大容量40kWhのリチウムイオン電池が搭載された!
2代目となった新型日産リーフは、従来の航続距離に対するマイナスイメージを大きく変革するためのチャレンジを行った。
まず、より長い航続距離を求める顧客に対応するため、リチウムイオン電池を新開発し、さらに容量を大幅にアップ。電池容量は従来の24kWh/30kWhから、なんと40kWhとなった。
この新40kWhのリチウムイオン電池を手に入れたことで、新型リーフの航続距離は大幅に向上。従来の280kmから、400㎞まで航続距離を伸ばしている。実際の電費を7~8㎞/kWhとすると、40kWhなので280~320㎞程度の航続距離が期待できると予想した。急速充電器などのインフラもかなり整ってきたので、よほどのへき地に行かなければ、とくに問題はないだろう。
また、日産はもっと長い航続距離を望む顧客に対して、さらにバッテリー容量をアップしたハイパフォーマンスモデルを2018年に発表。このハイパフォーマンスモデルは、60kWh前後の容量をもつリチウムイオン電池を搭載する可能性が高い。また、ハイパフォーマンスモデルとしていることから、より大出力のモーターを積む可能性もある。こうしたモデルの存在は、新型リーフのさらなる可能性を感じさせる。
■出力もアップされ、強力な加速力をもつ新型日産リーフ
新型日産リーフに搭載されたモーターは、EM57型で最高出力150ps(110kw)、最大トルクは320Nmになった。初代リーフが、109ps(80kw)で254Nmだったので、41ps&66Nmも出力を上げている。新開発された高出力インバーターによるものだ。
先代リーフ30kWh車でGグレードの車重は1,460㎏。新型リーフのGグレードは1,520㎏となっている。60㎏車重が重くなっているのだが、高出力化されたことで、リーフのパフォーマンスは大幅に向上。0-100㎞/h加速は、初代モデルより-15%加速時間が短くなった。また、高速道路などで力強さを感じる60-100㎞/hに関しては-30%もタイムを短縮した。この加速感は、初代と新型リーフ大きな違いだ。元々、リーフの力強い加速感に関しては、多くの顧客が満足していたが、新型リーフは更なる速さを身につけている。
そして、EVの魅力はエンジンが無いことによる静粛性だ。この静粛性に関しても大幅に進化している。吸遮音材を追加および最適化した。その結果、欧州のプレミアブランドモデルと同等の静粛性を得ている。
■アクセルとブレーキの踏み換え操作が約9割減!? 「e-Pedal」ってなんだ?
そして、新型日産リーフには、ノートe-POWERで好評だった「e-Pedal」が採用されている。新型リーフでは、このe-Pedalのフィーリングがより1ペダルでドライブできる設定になった。
ノートe-POWERでは、アクセルオフでの減速度が0.15Gだった。これでも、やや強めのブレーキをかけたフィーリングだった。それが、新型リーフでは、0.2Gまで高められている。これは、ノートe-POWERより、より強力になっている。助手席に乗っていると、明確に体が前方に引っ張られる感覚を感じるほど。なかなか強力な回生ブレーキとなる。ガソリン車が、アクセルオフ時の減速度が0.05Gなので、約4倍の減速度を新型リーフでは発生させている。
このe-Pedalの採用により、アクセルからブレーキへの踏み換え回数が大幅に減少。ノートe-POWERでは、約7割減だった踏み換え回数が、新型リーフでは約9割減となったという。これにより、運転中の疲労軽減が期待できる。
ただ、このe-Pedalは一定のアクセルコントロールができる人向けだ。アクセル操作が雑な人は、かなりギクシャクした運転になり、スムースに走らせるようには一定の時間が必要だろう。運転に興味がある人にとっては、面白いと感じるかもしれないが、運転に興味がない人にとっては、妙な機能に感じるかもしれない。そうした人は、通常の協調回生ブレーキが装備されているので、今まで通り普通に乗ることができるので安心だ。
■自動で駐車! 新機能のプロパイロットパーキング登場
新型日産リーフには、同一車線上で車線を維持しながら、前走車に追従走行できる運転支援システムである「プロパイロット」が一部グレードに標準装備化されている。この機能は、すでにセレナやエクストレイルに搭載されているものと同じだ。
新型リーフには、さらに国内メーカー初のとなる自動駐車システムである「プロパイロットパーキング」が搭載された。
この機能は、4つのカメラと12個のソーナーなどを使い駐車枠を検知。ナビ画面上に表示された駐車枠を選択し、シフトレバーのそばにあるプロパイロットパーキングスイッチを押すと、ステアリングやアクセル、ブレーキを自動で操作。決められた枠内に自動駐車してくれる。駐車後は、自動でシフトがニュートラルになりパーキングブレーキがかかる。
この自動駐車中に、ソナーなどで障害物や歩行者などを検知すると自動で停止する。
駐車枠は、一般的な後退駐車だけでなく、縦列駐車、そして充電時などで使う前向き駐車などもできる。駐車枠が無いような場所では、少々手間だが手動で駐車枠を設定すればOKだ。
こうした機能は、クルマの運転に自信があるひとにとっては無用の長物。駐車スピードは、安全性重視でゆっくり行われるので、自分で運転したほうが早いと感じるだろう。ただし、運転が苦手な女性や高齢者などにとっては、非常に便利で安心できる機能となる。また、慌てて事故を起こすリスクも減るだろう。
■初代リーフとは全く異なるデザインが採用された新型日産リーフ
新型日産リーフのデザインは、先代モデルとはまったく異なるデザインになった。これは、初代リーフのデザインが、あまり評価されていなかったということでもあると予想できる。
カッコいいか悪いのかという部分は、人それぞれだが、初代リーフと比べるとエッジの効いたキャラクターラインが多用されていることもあり、なかなかシャープでスポーティな印象となった。このデザインは、2016年に登場したコンセプトカー「IDSコンセプト」と共通するものがある。
そして、フロントフェイスには、日産の象徴でもある力強いVモーショングリルが設置された。Vモーショングリルの内側には、「氷結」をモチーフにしたクリアブルーの3Dメッシュパターンが配され、EVのクリーンなイメージをアピールする。
インテリアは、初代リーフと比べると近未来感が少なくなった。水平基調で広さを演出するデザインだが、非常に保守的だ。ナビのモニターも、最近のモデルと比べるとやや小さい。
また、メーターも先進感が無い。フル液晶にするなどの先進感に期待したものの、残念ながらアナログのスピードメーターを右側に配されており、最上級グレードでは約400万円もする高級モデルらしい質感は感じられない。
新型リーフのボディサイズは、全長4,480㎜×全幅1,790㎜×全高1,540、ホイールベース2,700㎜となった。初代リーフと比較すると全長で+35㎜、全幅+20㎜、全高-10㎜となった。新型リーフのプラットフォーム(車台)は、初代リーフと同じなのでそれほど大きな変化はない。最小回転半径は、5.2mもしくは5.4mとなっていて、コンパクトカーとしては標準的な機動性を確保している。
■新型日産リーフのグレード選び
新型日産リーフのグレード選び。新型リーフのグレードはSグレード、Xグレード、Gグレードの3つ。まず、Sは選択肢から外したい。Sは、歩行者検知式自動ブレーキやサイド&カーテンエアバッグなどを標準装備化されているものの、新型リーフのウリでもあるプロパイロットなど先進予防安全装備がオプションでも選べない。
こうなると、XかGかという選択になる。Xは、Sに対してナビなどが標準装備化されていることもあり、価格は36万円ほどアップしている。Xはプロパイロットは必要だけど、プロパイロットパーキングは必要ないなど、用途に合わせ選択できるグレードになっている。
こうした先進装備をフル装備したいのであれば、Gがお勧めとなる。新型日産リーフを選ぶなら、先進技術をフル装備したGが最も満足度が高い。
ただ、運転に自信があるので、プロパイロットパーキングは必要ないという人もいる。機能を自分で選択したいというのであれば、Xを選んで、必要な装備をオプション選択するという選び方がある。自分にとって無駄と思える装備を省き、少しでも予算を抑えたいと考えるのなら、Xがお勧めだ。
新型リーフのオプション価格は、プロパイロットパーキングが162,000円。プロパイロットパーキングが210,600円となっている。Xの車両価格が3,513,240円なので、これにプラスされることになる。
車両価格はCセグメントのコンパクトカーとしては、ガソリン車と比べるとまだまだ高価。しかし、現在は補助金やエコカー減税の恩恵が大きい。新型リーフS40kWh車で、40万円の補助金となっている。また、エコカー減税は約12万円となる。未だ補助金頼みの価格という部分は残念だが、これでなんとかハイブリッド車並みの価格になるといったところだ。ただし、プリウスにはプロパイロットやプロパイロットパーキング機能は無いので、この部分に関しては新型リーフの魅力は際立っている。
もう、当たり前になったハイブリッド車か、先進のEVかという悩ましくも楽しい選択になりそうだ。
■新型日産リーフ価格
・S 3,150,360円
・X 3,513,240円
・G 3,990,600円
■新型日産リーフ、スペック、航続距離など
代表グレード | 日産リーフ G |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4480x1790x1540mm |
ホイールベース[mm] | 2700mm |
車両重量[kg] | 1520kg |
総電力量[kWh] | 40kWh |
最高出力[kw/rpm] | 110kW(150ps)/3283~9795rpm |
最大トルク[N・m/rpm] | 320N・m//0~3283rpm |
JC08モード交流電力量消費率[Wh/km] | 120Wh/km |
JC08モード一充電走行距離 | 400km |
定員[人] | 5人 |
消費税込価格[円] | 3,990,600円 |
発売日 | 2017/10/2 |
レポート | 編集部 |
写真 | 日産 |
■以下、6月28日掲載、日産リーフスクープ&予想記事
新型日産リーフ、プロパイロット搭載!
日産は2017年度に、電気自動車(EV)「リーフ」のフルモデルチェンジを予定している。その新型日産リーフの一部を公開した。
公開された新型日産リーフの画像は、メーターのアップ。セレナとエクストレイルと同じ日産プロパイロットの表示がされていることから、新型リーフにもプロパイロットが搭載されていることが分かる。
日産は自動運転化技術の一環として、運転支援システムであるプロパイロットの装着を進めている。当然、新型リーフに搭載されることは十分予想できるものなので、この画像だけでは新型リーフの凄さが伝わってこない。
航続距離を大幅強化する新型日産リーフ
日産新型リーフの凄さは、プロパイロットだけではないようだ。電気自動車(EV)のデメリットは、航続距離の短さにある。航続距離の短さと充電インフラの少なさから、電気自動車はマーケットに受け入れられない状況が続いてきた。
しかし、日産は2010年12月に現行リーフをデビューさせて以来、航続距離のアップに力を注いできた。当初は、24kWhというバッテリー容量で航続距離は200㎞だったが、現在は228㎞まで向上。さらに、30kWhへとバッテリー容量がアップされたグレードも追加された。このモデルは、280㎞にまで航続距離を伸ばしている。航続距離へのデメリットは、徐々に解消されてきている。
また、充電スポットの整備も進んでいる。まだ、一部の地域などでは不便なところもあるものの、都市部ではもはや不便さを感じないほどになった。現在、約23,000基もの充電スポットがある。
新型日産リーフ、航続距離400㎞!? 40kWhバッテリーを搭載と予想
280㎞まで伸びた航続距離とはいえ、ハイブリッド車やガソリン車と比べると、まだ不安も残るというのも事実だ。
そこで、新型日産リーフは、大幅に航続距離を伸ばしてくると予想される。そこで、新型日産リーフの航続距離を予想してみた。まず、現在280㎞まで航続距離が伸びているので、フルモデルチェンジしたならば、300㎞超は確実なところだ。しかし、それではマーケットにインパクトを与えるような数字にならない。
そこで、新型日産リーフには、どうやら40kWh程度のバッテリーが搭載されると予想した。現在、30kWhで280㎞の航続距離。技術の向上分を加味すると、10kWh当たり100㎞程度の航続距離になると予想。そうなると、40kWhのバッテリーを搭載すると、新型日産リーフの航続距離は、なんと400㎞! という計算になる。
新型日産リーフの航続距離は、40kWhのバッテリーを搭載し航続距離は400㎞! と、予想した。
新型日産リーフの発表日は9月6日! 価格を予想
そして、重要なのは新型日産リーフの価格。当然、40kWhのバッテリーを搭載したグレードは、価格アップされるだろう。ただ、あまり高額にしてしまっては売れないことも十分に日産側も理解しているはず。そうなると、価格アップの幅は微小ではないかと予想。
現行の30kWh車Sグレードの価格は3,197,880円。24kWh車との価格差が約40万円。こうなると、新型リーフの40kWh車は400万円前後の価格となることが予想できる。しかし、これでは高額すぎる。ライバルになる可能性が高いプリウスPHVのSナビパッケージが3,666,600円なので、なんとか350万円前後で売りたいのではないだろうか。そう考えると、新型日産リーフ40kWh車Sグレードの価格は350万円前後と予想した。
そして、新型日産リーフの発表は2017年9月6日となった。発売は10月頃、もしくは11月といった流れになると予想した。
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