スズキ のSX4 Sクロス は、乗用車の使い勝手とSUV感覚の外観デザイン、電子制御4WDの走破性などを合わせ持つクロスオーバーモデルだ。ハンガリーのマジャールスズキで生産され、日本に輸入される外国製のスズキ車でもある。

アメリカでは大型SUVが、また欧州では比較的コンパクトなクロスオーバーSUVが良く売れていて、最近では日本でもコンパクト SUV の売れ行きが増加傾向にある。そんな中に投入されモデルだが、スズキの販売目標は至って控えめで、年間でわずか600台だという。月にではなく年間でだ。この台数では輸入する意味があるのかどうかという感じだが、いくらなんでも実際にはもう少し良く売れるのではないだろうか。

SX4 Sクロスの外観デザインは、SX4 らしさを継承するとともに、SUVらしい力強さが表現されている。ボディサイズはベースのSX4(SX4 Sクロスに対しては、旧型SX4と呼んだほうが良いのかも知れない)に比べると、全長と全幅がひと回り大きく、このサイズ的な余裕がSUV感覚のデザイン代(しろ)に使われている。逆に全高はわずかに低いが、これは最低地上高がわずかに低いことと、ルーフの形状が影響している。

SUVらしいのは、ボディサイドの抑揚のあるプレスラインやブラックのホイールアーチモールが力強さを表現している部分だ。さらに、LEDポジショニングランプ付きのディスチャージヘッドランプや、前後とサイドにシルバーのアンダーガーニッシュが配置されるのもSUVらしさにつながっている。

インテリアはSX4とは別のデザイン処理が施され、ソフトパッドやシルバーの加飾を採用したほか、2眼式の自発光メーターを採用するなどして質感の高さを表現しているが、全体的にはコンパクトクラスの平凡なデザインといった印象である。

　パッケージングは、SX4に比べるとはっきりと余裕がある。いずれもSX4との比較で、全長が150mm長い4300mm、ホイールベースは100mm長い2600mm、室内長は20mm長い1995mmとされている。前後乗員間の距離は44mm長い814mmだ。また、全高はやや低くなったのに、室内高は15mm高くなっている。乗降性や開けた前方視界などもSX4に対して改善された部分だ。

ラゲッジスペースも開口部が大きくなって見切りが低くなり、長さ、幅、高さのいずれもが拡大されることでラゲッジ容量も大きくなっている。シートのアレンジに合わせてラゲッジボードを自在に配置できるので、使い勝手は格段に向上した印象だ。

ほかにもラゲッジルームランプ、アクセサリーソケット、ラゲッジフック、ショッピングフックなどで使い勝手の向上に貢献している。ドリンクホルダーなど、豊富な収納スペースはコンパクトSUVのお約束といっても良い部分である。

ただし、自動ブレーキなどの安全装備が用意されていない。スペーシア などに搭載されているデュアルカメラブレーキサポートなどは、歩行者検知式の自動ブレーキ。こうした安全装備をもっているだけに、装備されていないというのは少々もったいない。