■アメリカを意識した拡大した先代レガシィから、さらにボディを大型化した6代目レガシィ
スバル のフラッグシップとなるレガシィB4 &アウトバック が、フルモデルチェンジを受けた。1989年に初代モデルがデビューしたレガシィは、代を重ねるごとにボディサイズが大型化してきた。特にひと世代前の5代目レガシィは、アメリカ市場を強く意識して大型化したため、国内では売りにくいクルマになっていた。
その反省もあってスバルでは、レヴォーグ &WRX を国内向けモデルとして投入し、レガシィはよりアメリカ市場を意識したクルマとして作られることになった。結果、6代目レガシィはボディサイズがさらに大型化し、全長が4795mmと長さも3ナンバーサイズで、全幅は日本向けの限界ラインともいえる1800mmを踏み越えて1840mmに達している。堂々たる3ナンバーサイズといっていいだろう。
個人的には、この段階でほとんどアウトである。クルマが大きく重くなることに対して基本的に反対であるからだ。特に全幅については1800mmを超えると日本道路交通環境の中で制約を受けるケースが多くなる。都市部多い立体駐車場では、全幅を1800mm以内に設定しているケースが多く、車庫証明を取得できないユーザーが出てくる。1800mmを超えると買う人を選ぶクルマになってしまうのだ。
■レガシィの大型化がレヴォーグを生んだ
ボディサイズが拡大すれば、室内空間が広くなって快適性が高まり、あるいは側面衝突を中心に衝突安全性の確保がしやすくなるなどのメリットもあるから、無条件にダメということでもないのだが、レガシィB4に限らず最近のクルマの大型化は目に余るように思う。
こうしたクルマ作りは、スバルに限ったことではなく、日産 やホンダ などではさらに顕著にアメリカや中国を向いたクルマ作りをしているから、スバルばかりを責めるべき話ではない。ただ、日本のユーザーとしては日本向きのクルマを一所懸命に作って欲しいと思う。そうしたこともあり、日本向けにはレヴォーグが登場したわけだ。ある意味、レガシィの大型化がレヴォーグを生んだということにもなる。
■万人に好まれるスッキリとしたデザイン。余裕のある室内空間など、満足度の高い仕上がりだが、ステアリングに装着されたスイッチ類の操作性にもうひと工夫欲しい
大きさを除くと新型レガシィB4は、けっこう良いクルマである。デザインは、保守的な印象の普通のセダン だが、嫌味のないすっきりしたセダンに仕上げている。このデザインを強く好きというユーザーは少ないだろうが、多くのユーザーから嫌われることのない万人受けするデザインである。
インパネデザインに対する印象も概ね外観デザインに対するものと同じだが、こちらは多少は文句がある。今回から電気式パーキングブレーキを採用するのに合わせ、SIドライブのスイッチがコンソールからステアリングに移設されたが、そのためにステアリングホイールにたくさんのスイッチがついて、いかにも煩雑な印象になった。これでは逆に操作性が良くないので、ひと工夫欲しいところである。
メーターパネルには、SIドライブに応じて変わるトルクカーブが表示されたり、燃料消費の状況を示したり、アダプティブ・クルーズコントロールの表示など、液晶パネルにいろいろな表示がなされる仕組みが採用される。この部分もちょっと窮屈さを感じさせるが、視認性は上々のレベルにある。
レガシィB4はボディの大きさを生かして、後席の足元空間は余裕十分だ。AWD なので後席中央の足元が窮屈になるのは仕方がないが、4人全員が快適である。またAWDであるにもかかわらずトランク容量もたっぷり確保されている。まあ、この大きさのボディで後席やトランクが狭かったりしたら、顧客からも文句が出るのは確実だ。
・レガシィB4 リミテッド 3,078,000円
スバル レガシィB4燃費、スペックなど
代表グレード | スバル レガシィB4リミテッド |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4795×1840×1500mm |
ホイールベース[mm] | 2745mm |
トレッド前/後[mm] | 1580/1595mm |
車両重量[kg] | 1530kg |
総排気量[cc] | 2498cc |
最高出力[kW(ps)/rpm] | 129(175)/5800rpm |
最大トルク[N.m(kg-m)/rpm] | 235(24.0)/4000rpm |
トランスミッション | CVT |
定員[人] | 5人 |
消費税込価格[円] | 3,078,000円 |
レポート | 松下宏 |
写真 | 編集部 |
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